「プラウド青葉台」は敷地の高低差を生かしつつ、地域に開かれた立体的な緑地帯を設けた総戸数121戸のマンションです。趣の異なる二つのガーデン、ダイナミックなデザインのアプローチ、充実した共用施設、環境への配慮など、見どころの多い建築の魅力を担当者が解説します。
敷地は東急田園都市線の青葉台駅から徒歩9分、北側は桜の名所として知られる並木道、東側も駅から続く道路に面した角地にあり、南西へ行くにつれて上り斜面になった傾斜地です。横浜市の条例に基づき、土地の高低差をできるだけ生かし、かつ敷地内に地域の住民が自由に利用できる「自由利用空地(公開空地)」を設けることが計画の要件でした。
そこで、周囲からの景観やプライバシー性を考慮し、無機質な機械式駐車場を敷地の中央に配し、桜並木に面した北棟(サクラコート)、エントランスを設けた東棟(フロントコート)、斜面の上に建つ南棟(ヒルコート)の3棟を外周部に面して配棟することで、道路面のどこから見ても顔となるような全体計画としました。また、周辺にお住まいの方々も利用しやすい植栽帯設けた空地を、周辺環境や利用状況を考慮し、北東と南東の2か所に分散して設けました。
エントランスは幹線道路から奥まった位置に設け、道路と建物をスロープでゆるやかに結ぶことで、高低差による圧迫感を軽減すると同時に、品格のある構えを演出しています。外観は白と黒を基調とし、マリオンの縦ラインで分節して、軽やかさと邸宅らしさを表現しました。アプローチの庇の側面も、白と黒の対比が際立つシャープなデザインによって、水平に伸びる大きな構えとしました。
アプローチは緑を眺めながら入口へといざなうような格調あるデザインを目指し、大庇(おおびさし)の天井に木調のシートを張って間接照明を仕込みました。御影石の壁面の一角(通路が折れ曲がった地点)に配したのは、後述するエントランスホールと同じアイストップとなるガラスアートです。
バルコニーのガラス手すりは不透明、半透明、グラデーションと色調を変え、ガラスパネル同士をつなぐ細い縦桟の部材を用いることで水平方向の連続性を強調するなど、ディテールに気を配りました。また、アプローチの庇の天井と呼応させるよう、最上階とその下階の軒裏を一部、茶系に塗装することによって、木を感じさせる温もりと優美さを醸し出しています。
広く地域の皆様にご利用いただけるように、駅寄りの南東の角に1カ所、桜並木に面した北東の角に1カ所設けた空地は、趣を変えてデザインしました。エントランスアプローチと一体となった前者の「ガーデンコリドー」は、道路との高低差をそのまま生かした立体的な植栽が特徴で、奥行きのある空間が生まれています。
駅寄りの南東の角に配する「ガーデンコリドー」は、シンボルツリーのイロハモミジをはじめ、多種多様な樹種の木々を配し、落ち着きのある前庭としました。気軽にひと息ついて四季折々の風景が楽しめます。
一方、桜並木に面した北東の角に配する「コミュニティガーデン」は人通りの多い桜並木に面しています。桜並木との一体感を演出するため、ヤマザクラなど、多様な樹種の桜の木を植えました。また、東側の擁壁の上にも桜をはじめとする樹木を植え、緑を連続させています。
地域の方々が集いやすい場であることも意識し、さまざまな時間帯においてご利用いただけるよう、照明計画にも気を配りました。
エントランスホールは2層吹き抜けの空間です。両脇に設けたラウンジの壁面はアプローチ沿いの壁と同じ御影石とし、内と外が連続する一体感を演出しました。正面右手の壁は鏡貼りで、大空間の奥行きをさらに強調しています。ラウンジのテーブル、ソファやオットマンの台座には国産材のセンダンの突板を用いました。
エントランスホールの突き当たりにはアイストップとして、京都の陶額堂の制作による、アプローチと同じ工芸ガラスのアートを配しました。青葉台という地名から想起される緑豊かな都市生活をイメージし、光のきらめきや水のしぶきを表現しています。アートはリズム感を意識して配置し、背後から照明を当て、あたかも光が差し込む開口部のように見せることで、地下にいることを感じさせないようにし、空間に明るさと開放感をもたらしています。
ホールの吹き抜けに面した2階には、リモートワークができるコワーキングスペースと個室のテレワークブースを設けました。コワーキングスペースのテーブルはラウンジと同じセンダン突板を使用しています。写真右手の壁面デザインパネルには国産材のヒノキを用い、木の香りを感じることができます。
2階の一角には、予約すれば貸し切り利用が可能なパーティー&ゲストルームも用意しました。ダイニングキッチン、リビング、寝室を備え、住民の交流の場や来客用の宿泊室として、多目的に活用できます。奧の寝室はホテルライクな上質な空間としました。
「プラウド青葉台」は、屋上に大規模な太陽光発電設備を設置する一方、各戸のバルコニーに設置した高効率給湯器「エコキュート」を深夜ではなく太陽光が発電する日中に稼働させ、かつエコキュートをグループ化して電力の平準化を図るといった工夫により、実質再エネ100%を目指しました。
さらに、従来、地上一段目以外にEV充電設備の設置が困難だった機械式駐車場において地上段すべてへの設置を可能にし、駐車可能区画のうち7割超の区画をEV車対応にするなど、多方面にわたり、環境負荷の低減に努めました。
このように、地域との共生や環境への配慮など、今後の集合住宅のスタンダードとは何かを追求し、住まいと暮らしの未来を見据えて計画したのが「プラウド青葉台」です。この先、お住まいの皆様だけでなく、地域の皆様にも長く愛される建築になっていくことを願います。
※掲載の情報は、2025年8月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部神奈川事業推進部推進課 山﨑康弘
「プラウド青葉台」は意匠上の工夫や共用部の充実にとどまらず、実質CO2排出量ゼロへの取り組み、地上段すべてでEV充電可能な機械式駐車場の導入など、さまざまな新しいチャレンジを積極的に行ったレジデンスです。これからも社会のニーズに応え、お客様にご満足いただける住まいを創っていきたいと、改めて感じています。