

築50年超のマンションを建て替え、26階建ての高層マンションとして生まれ変わった「プラウドタワー渋谷」。普遍的な建築を理想とする権利者の皆様の声に耳を傾け、さらに野村不動産の知見やノウハウを加えることで、変わらない良さを残しつつ、新しいデザインとして昇華させました。担当者がこの建築に込めた想いを動画で語ります。


渋谷という地にありながら、歴史や緑を感じる一角に誕生した「プラウドタワー渋谷」。重厚感と軽やかさを両立させた外観、地域に開かれた緑豊かな空地、内と外のつながりを大切にした共用施設など、建築の見どころを担当者がさらに詳しく紹介します。
「プラウドタワー渋谷」のあるJR山手線内側の南東エリアは、渋谷駅から徒歩圏でありながら、商業施設だけでなく寺社や学校などが混在し、古くからの歴史や緑が感じられる落ち着いた住宅地でもあります。

敷地には以前、1964年竣工の8階建てのヴィンテージマンションが建っていましたが、耐震性の不足に加え、設備配管の劣化による漏水が起こるなど、老朽化が進み、早期の建替えが求められていました。

野村不動産は事業協力者として参画した2017年以降、権利者の皆様とともに建替えの検討を進めてきました。敷地内に緑豊かな空地や歩道上空地を設けることで地域の街並み整備に寄与する計画により、渋谷区で初めて「マンション建替法に基づく容積率の特例緩和制度」の利用が認められ、地上26階建てのタワーマンションに生まれ変わることになりました。また、安全・安心で高品質な住まいを実現するため、免震構造を採用した点も大きな特徴です。

渋谷の中でも落ち着いたエリアにあることから、外観は邸宅らしい構えを演出したいと考え、低層部は石を多用して重厚さを出しています。南東のコーナー部には十分な空地を確保し、地域の人々も安心して歩ける空間を設けました。


中層部から上層部にかけては、縦方向の部材のマリオンを活用することによって、建物のボリュームを軽減しつつ、彫りの深いデザインを実現しています。

ただし、高さのあるタワー全体のイメージが重くなりすぎないよう、高層部には、空が映り込み、景色に溶け込むような大きなガラス面を設け、軽やかさを表現しました。


敷地の北西側にはタワーとは別棟の、低層の駐車場エントランス棟を配置。この棟の周囲にも水盤や緑をしつらえ、地域に開かれた潤いある空地を確保しました。
建替え前のマンションを手がけた建築家・芦原義信氏は「中間領域」を大切にした設計で知られており、それが顕著に表れたのが1階のロビーでした。中間領域とは縁側や土間やテラスのように、屋外と屋内をつなぐ空間のこと。内と外を緩やかにつなぐロビーにより、空間の広がりが感じられたのです。この設計思想を継承したいという権利者の皆様の想いを受けとめ、新しいデザインとして昇華させたいと考え、何度も議論を重ねて実現したのが現在の共用空間です。


玄関アプローチは石に囲まれた空間を奥まで引き込むことで邸宅としての品格を演出しています。また、正面に見える凹凸のある御影石貼りの壁面を、右手の風除室、さらにその右奥に続くエントランスホールまで連続させることによって、屋外から内部までがひとつながりの空間として感じられるようにデザインしました。

風除室から内部に一歩足を踏み入れると、ガラスとアルミのルーバーを組み合わせた壁に囲まれた、開放感のあるエントランスホールが出現します。晴れた日にはルーバーの隙間から差し込む光と影が刻一刻と移り変わり、内と外の連続性が感じられる贅沢な空間です。

コンシェルジュカウンターには、艶のある本磨き仕上げの黒い大理石を用い、足元を浮かせて浮遊感を演出しました。背後に見える御影石の壁面は、裏手にあるエレベーターホールの手前までぐるりと続いています。

ラウンジもエントランスホールとのつながりを意識してデザインしました。手前のホールとは4枚の引き戸で仕切ることができますが、普段は開放してホールと一体の空間として使えるように計画しています。

14階の南側にはゲストルームを用意しました。窓からは渋谷の街並みが一望でき、一日ゆったり過ごせるホテルライクな空間です。
権利者の皆様が求めるタイムレスなデザインや中間領域の豊かさへの理解を深め、そこに野村不動産の知見やノウハウを加えて形にするまでには時間がかかりましたが、話し合いを重ねる中で信頼関係が生まれ、次第にめざす理想の姿が見えてきたように感じます。

かつてのマンションの思想を受け継ぎ、さらなる魅力を加えた「プラウドタワー渋谷」が、お住まいの方々だけでなく地域の皆様にも長く愛され、100年先も残る建築になってほしいと願っています。
※掲載の情報は、2026年1月時点の情報です
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部事業推進三部推進一課 冨山豪大 (元・開発企画本部マンション再生推進部建築推進課)
建替え事業は長い時間をかけ、密に権利者様と話し合う機会が多いため、このプロジェクトを担当していた当時は、こちらの本心を飾らず真摯に伝えなければ皆様の心には届かないことを痛感し、研鑽を積む日々でした。結果として、従前のマンションの意思を受け継ぎながらも、この時代の、この土地に合った素晴らしい建物ができたことをうれしく思います。これからも、プラウドに永く大切にお住まいいただけるように、業務に取り組んでいきたいと思っています。