東日本大震災から10年、近年は気候変動にともなう甚大な風水害被害も毎年のように起こり、人々の防災への意識は高まりつつあります。それにともない、震災・火災・風水害などに対するマンションの防災対策も、日進月歩で進化を遂げています。
いざという時にも暮らしを守り、人を守る。プラウドの考える防災への取り組みは、マンションづくりの計画時から始まっています。災害時の運用を視野に入れた防災対策や、人と人とが助け合えるコミュニティ形成のきっかけなど、プラウドの最新の取り組みについてご紹介します。
2022年3月竣工の「プラウドタワー小岩ファースト」。地上22階建てタワーレジデンスの7階部分に位置するのは、なんと、約65平米の防災備蓄倉庫です。スペースの半分を占めるのは、壁一面に見本市会場のようなブースが備え付けられた防災展示コーナー。各ブースには非常時に使うヘルメットや工具、備蓄品、簡易トイレなど、災害時にすぐにでも必要となる防災備品が展示され、使い方を記した取説カードも用意されています。
従来、防災備品はできるだけ目立たないエリアにコンパクトなスペースで計画されてきた防災備蓄倉庫という存在が、今、大きく変わろうとしています。
「プラウドタワー小岩ファースト」の防災備蓄倉庫は、年2回開催となる「防災ワークショップ」で使用されます。その際には、住人の方々が見学し、自ら手に取って防災備品の中身を知り、有事の時に躊躇なく使えるよう、知識や体験を積むことができるのです。
一方、2021年11月に竣工の「プラウド瑞江」のエントランスラウンジにも、 “しまう防災”の取り組みが導入されています。二層吹き抜けの開放的なラウンジに置かれたソファの座面を持ち上げると、なんとそこには救急箱やヘルメットといった防災備品が。
日々の暮らしの中でなじみ深い空間であるラウンジに、家具メーカーと協同で、座り心地を重視した特製のソファを開発したのです。いざ災害が発生した際に、マンションのエントランスラウンジにこのソファが設置されていることで、必要な備品がいち早く揃えられます。防災備品は、“日常の暮らしの空間のわかりやすい場所に保管すれば、使いやすい”。そんな発想から生まれた工夫です。
このアイデアは、「プラウド瑞江」を皮切りに、「プラウド所沢寿町」でも採用され、今後はラウンジなどの壁面の飾り棚の一部やテーブルなどにも取り入れ、災害時の運用に備えています。
近年、災害時に自宅マンションに継続して居住できる場合、在宅避難を推奨する自治体が増えてきました。一方で、「防災倉庫ってどこにあったっけ?」「備品は何が揃っていたかな?」といった声もあり、「すぐに使えるのか心配」といった防災備品についてのアンケート調査の結果からも、さまざまな課題が浮かび上がりました。
防災備蓄倉庫や備品を、いざというとき本当に役立てるためにはなにが必要か。お引き渡し後の運用まで見据えて考えた末にたどり着いたのが、これらの新しい取り組みだったのです。
地震や風水害といった自然災害に対する人々の意識を大きく変えたきっかけは、なんといっても2011年の東日本大震災です。野村不動産では、それ以前から災害に備える住まいの実現に取り組んできました。その基準となるのが、プラウド独自の「集合住宅設計基準」と「集合住宅マニュアル」。住まいづくりの歴史の中で培ってきた知識や経験をまとめたものですが、近年激しさを増す自然災害に対応すべく、日進月歩で対策をアップデートしています。
災害に備える住まいづくりは、マンション計画時からスタートしています。具体的には、計画地において地盤調査を行い、建物配置・配棟について検証して構造設計に反映したり、ハザードマップや実際の被災事例も踏まえながら、地盤の液状化対策や浸水対策として防潮板を設置するなど、計画によって必要となる対策に多角的に取り組んでいます。
「プラウドの備え」としては、そのほかにも消火設備の設置や地震の揺れに対応した玄関扉の採用などがありますが、こうしたハード面のみならず、ソフト面でも様々な備えをしています。すべてのマンションの共用部に防災備蓄倉庫を設置し、防災備品を整えることも、その一環。先にご紹介した“見せる防災”“しまう防災”のように、災害への備えを身近なものにし、日頃から防災意識向上につなげられるようなアイデアを、これからも提案致します。
言うまでもなく、防災は「プラウドの備え」だけでは十分ではありません。いざというとき大きな力を発揮するのが、住人どうしのコミュニティ、言わば「みんなの備え」です。こうしたマンションにおけるコミュニティ形成についても、プラウドでは「マンションコミュニティのためのデザイン手法100」(*1)や、日々の暮らしを楽しむきっかけの「OSEKKAIプロジェクト」(*2)などの取り組みを実施。居住者同士のコミュニティ形成をお手伝いしています。
*1:産学協同研究により実施している、お住まいの方同士のコミュニケーションが自然と生まれるようなデザインや設計上の配慮。内容については、物件により異なります。
*2:共用部などに暮らしを彩るプラスαのアイデアと機能をデザイン。物件により異なります。
災害への備えとして、最後に欠かせないのが「自分の備え」です。家族構成や健康状態、どんなペットを飼っているかなど、さまざまな事情に対応した防災備品や避難経路の確認などが必要となります。プラウドでもご入居者様に対し、防災対策をまとめた『防災ガイドブック』や、物件ごとにまとめた『防災設備ガイド』を作成してお渡ししています。
災害は決して他人事ではありません。「プラウドの備え」に加え、災害時に助け合える居住者同士のコミュニティ形成「みんなの備え」や、ご自身の家族構成に応じた「自分の備え」の3つの備えが結びつき、さまざまな取り組みが積み重なることで、より確かな安心へとつながっていきます。プラウドではそうした暮らしを実現するべく、住民同士のコミュニケーション(「みんなの備え」)のきっかけ作りや、防災意識を高める(「自分の備え」)ためのサポートにも日々取り組んでいます。
※掲載の情報は、2024年3月時点の情報です