プラウドが生まれる街日野市 多摩平

多摩平は、自然環境に恵まれた東京都日野市の中でも、特に自然と都市機能の融合に成功している街です。高木の街路樹が続き、湧水の池にホタルが舞い、カブトムシが歩く。そんな自然豊かなエリアに、近年の再開発によって便利さとおしゃれさがアップしたショッピングモール、学校、病院、スポーツクラブなどが整備されています。

1 多摩平を歩く

日野市 多摩平では、緑とともに生きる
街づくりが進んでいます

最寄り駅はJR中央線の「豊田」駅。中央線快速の始発もある、嬉しい駅です。多摩平は豊田駅の北口に広がっていますが、駅前に立つと整備された美しい街並に気付くでしょう。中央に立つ高木が印象的なロータリーの先に広い道が真っ直ぐ伸び、その左右に建つ銀行や商業施設、医療施設のビルはどれもほど良い高さです。すっきりとした見通しに、見上げると大空。広い歩道はベビーカーを押していても歩きやすいでしょう。

先に進むと右手に見えてくるのが2014年にオープンした「イオンモール多摩平の森」。大型スーパーマーケットと、インテリアショップや家電量販店などの約110の専門店が入り、750席の大きなフードコートがある、多摩平の人たちの暮らしの核となっている施設です。館内のホールや催し物広場でさまざまなイベントが開催されるここは、多摩平の賑わいの中心にもなっています。

イオンモール多摩平の森
イオンモール多摩平の森
豊富な緑とベンチ。屋上庭園には遊具も
豊富な緑とベンチ。屋上庭園には遊具も

イオンモール多摩平の森は、高木に囲まれ、館内にも緑が豊富に配された気持ち良い施設。自然を大切にしながら開発が進められてきた多摩平の伝統を受け継いでいます。緑を大切にする街づくりは街の人々に深く浸透しているようで、個人経営の店にもオーガニックや地産地消を意識した店がいくつもあります。素材にこだわったブーランジェリー「サンカントサンク」。地元の素材を使ったヘルシーで彩り豊かな料理が人気の「オーガニックカフェ&レストラン レテラ」。多摩平には他にも有機食材を扱うショップなどが複数あります。

サンカントサンク。テラスで食べるのも楽しい
サンカントサンク。テラスで食べるのも楽しい
オーガニックカフェ&レストラン レテラ。コンサートなども行われている
オーガニックカフェ&レストラン レテラ。コンサートなども行われている

子育てから教育まで、自然と一緒に、
よりよい未来を考える街

そんな緑と共存する街のシンボルといえるのが「黒川清流公園」。多摩平エリアの北東に広がる、全長約600mの、ちょっとした森のような公園です。清らかな湧水と雑木林が気持ち良く、テレワークの気分転換に最適。隣接する「カワセミハウス」は地域の自然を学べる施設で、子育て中のファミリーにもおすすめしたい場所です。

黒川清流公園。サワガニが遊び、子どもたちの歓声が響く
黒川清流公園。サワガニが遊び、子どもたちの歓声が響く
子ども家庭支援センター、児童館、図書館などが入る、多摩平の森ふれあい館
子ども家庭支援センター、児童館、図書館などが入る、多摩平の森ふれあい館

子育てといえば、多摩平のある日野市は教育施設の宝庫といわれている自治体で、幼稚園から大学まで、たくさん揃っています。またICT教育に力を入れていることでも知られています。多摩平は、たくましい子が育つ自然豊かな環境に加え、「多摩平の森ふれあい館」を代表とした子育て施設も充実した、子育てに好適な街です。

2 新しい風

本と人をつなぎ、
日野の街に寄り添う図書館へ

静かな図書館で本を読む喜びは何物にも代えがたいもの。図書館は街のオアシス、図書館司書は知のコンシェルジュです。しかし今から60年ほど前は、一般的に日本の公立図書館は市民が気軽に利用できる場所ではありませんでした。それではいけないと立ち上がり、市民のための図書館を目指して汗を流した人たちがいました。その図書館改革というべき活動の中心となったところが東京都日野市でした。

日野市立中央図書館
日野市立中央図書館

「『日野市立図書館』は1965年に産声を上げました。といっても、大きな建物を造り、本を並べ、『さあどうぞ』とやったわけではありません。バスを改造して本を積み込み、市内のあちこちをまわる移動図書館を始めたのです」
そう話すのは日野市立中央図書館の澤井和泉さん。日野市立の図書館について詳しく教えてくださいました。

前川恒雄氏の著書『移動図書館ひまわり号』(夏葉社刊)
前川恒雄氏の著書『移動図書館ひまわり号』(夏葉社刊)

「まず移動図書館から始めたのは、日野市立図書館の初代館長・前川恒雄が抱いていた『市民みんなに本を読む楽しみを届けたい』という強い想いからだったと聞いています。待つのではなく、こちらから出向く、本を届けに行く、という考えですね。バスを改造して書架を取り付けた『ひまわり号』で日野市内各地の公園などに出向き、本の貸し出しを行いました。当時日野市は団地の建設ラッシュで、どこに行っても市民の皆さんがたくさん集まってくれたそうです。特にお子さんとお母さんで大変な賑わいで、ひまわり号が戻って来たら児童書の棚が空っぽになっていた、なんてことがよくあったそうです」

日野市立中央図書館の澤井和泉さん
日野市立中央図書館の澤井和泉さん

こうして本を読む喜びに目覚めた人たちが日野市にどんどん増えていきます。それに応えて市は建物としての図書館を建てていきますが、その際にもまずは小さめの図書館を分散させて複数建てました。ここにも市民に寄り添うという思想が現れています。そして機が熟した1973年に建てたのが、現在も活躍する「日野市立中央図書館」。日野市の図書館ネットワークの中心となる施設で、豊田駅南口徒歩6分ほどの場所にあります。

現在のひまわり号は11代目。3000〜3500冊の本を載せ、市民の元へ
現在のひまわり号は11代目。3000〜3500冊の本を載せ、市民の元へ
湧水が湧き、秋には地域のボランティアが育てたヒガンバナが一面に咲く中央図書館
湧水が湧き、秋には地域のボランティアが育てた
ヒガンバナが一面に咲く中央図書館

「日野市立中央図書館の建築にも、『市民に開かれた図書館』という考えが現れています。明るい窓に、気持ち良い吹き抜けのロビー。座って庭を眺めながらのんびりと本を読むのは至福の時間です。並んでいる椅子は、ある方が『亡き夫が大好きだった場所に』とおっしゃって寄贈してくださいました」

市民に愛されている図書館ですが、こんな微笑ましい話もあるそうです。
「ひまわり号は昔からずっと同じ音楽をかけて市内をまわっているんですが、日野市で育った人たちはみな、軽快でほのぼのとしたこの曲を耳にすると、ひまわり号のこと、感動した本のことを思い出すって言うんです」

市民から寄贈された10脚の椅子
市民から寄贈された10脚の椅子
ひまわり号のスタッフ
ひまわり号のスタッフ

移動図書館から始まった
本と街のいい関係は、
今も続いています

現在ひまわり号は市内21箇所を2週間に1度のスケジュールでまわっています。お母さんとお子さん、常連のおじさんおばさん、テレワーク中のお父さん。ひまわり号の周りには人々が集まり、本を手に取り、図書館の職員も交えて笑顔の輪が広がっています。ここに来れば仲間に会える、友だちができる。そんな場になっているんですね。最近では立ち寄り先の旭が丘地区センターでボランティアと協働して絵本の読み聞かせ会も行っています。

幼稚園や保育園、地域のお祭り、学園祭などにも出かけていく
幼稚園や保育園、地域のお祭り、学園祭などにも出かけていく
多摩平の西隣にある旭が丘地区センターで月2回行われている絵本の読み聞かせ会
多摩平の西隣にある旭が丘地区センターで月2回行われている絵本の読み聞かせ会

1台のひまわり号から始まった日野市の図書館。建物が建ち、大きくなった現在も、変わらずに人と本、人と人をつないでいます。

写真:薮崎めぐみ

写真協力:日野市立中央図書館

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※掲載の情報は、2022年1月時点の情報です