所沢は西武池袋線と西武新宿線が乗り入れるビッグターミナル。都心へスムーズにつながるアクセスの良さが人気の一つですが、着々と進む再開発によって新たな魅力も加わっています。それは将来性。進化を続ける所沢は、暮らしの未来へもつながる街です。
「所沢」駅は西武池袋線と西武新宿線のほぼすべての電車が利用できるターミナル駅。池袋や新宿はもちろん、直通する東京メトロ有楽町線・副都心線で都心の主要な街へスムーズにアクセスできます。美しい駅は鉄道建築協会賞の停車場建築賞を受賞しました。
駅周辺に商業施設が豊富にそろっているのもこの街の魅力。およそ120の店舗が集まる「グランエミオ所沢」や「西武所沢S.C.」などがあり、都心に出かける必要がないくらいです。今秋には大型商業施設「エミテラス所沢」が開業予定で、駅周辺はさらに発展してゆくでしょう。
東口から徒歩10分ほどのエリアでも大規模な開発が進んでいます。住居、商業施設、公園を一体開発する「ToKoKoRo TOWN」です。4月25日には商業施設「SOCOLA所沢」が先行オープン。スーパーマーケット「ライフ」には、オーガニック食品や有機野菜といった健康志向・自然志向の商品も並んでいます。
「増田伊之助茶園」隣接する茶畑の茶葉から究極のシングルオリジンづくりをめざす創業明治43年の茶園
こういった新しい動きができるのも、所沢の街が伝統をしっかりと紡いできたから。所沢駅から南に10分ほど歩くと、目の前に突然、茶畑が広がります。ここは「World Green Tea Contest 2020」で金賞を受賞するなど世界的に評価されている「増田伊之助茶園」です。近隣の小学校の茶摘み体験を受け入れるなど、次世代への継承にも取り組んでいます。また、所沢の味に欠かせないといわれる「深井醤油」は安政3年創業。職人技を受け継ぎつつ、「ところざわ焼きそば醤油」といった新製品の開発にも熱心です。ゆったりと寛げる北欧スタイルのカフェ「NIKSEN」や、壁一面に本が並ぶ、まるで図書館のような「図書喫茶カンタカ」といった新感覚の店が所沢の街に新風を吹き込んでいます。
人と自然が共生する場所として生まれた「図書喫茶カンタカ」。木をモチーフにデザインされた店内ではクラシックのライブも
少し足を伸ばせば、航空発祥の地に広がる「所沢航空記念公園」や、自然豊かな「トトロの森」、新しい文化の発信地「ところざわサクラタウン」、「西武園ゆうえんち」といった、学びと遊びの場所もあります。所沢は、家族のきずなを深め、豊かな未来へとつなげてゆく街です。
「所沢は飛行場の街」。そう言われてもピンとこない方が多いかもしれません。実は所沢は日本で最初に飛行場ができた街なのです。明治44年に開設された飛行場は現在は「所沢航空記念公園」となり、公園内でひときわ目をひく建物が「所沢航空発祥記念館」です。
「『所沢航空発祥記念館』は1993年の開館で、昨年30周年を迎えました。現在も、小さなお子さまをお連れの方からシニアの方まで、多くの方々にご来館いただいています」
そう話すのは、広報担当の長尾博樹さん。長尾さんは子どものころから記念公園で遊び、記念館で目を輝かせてきたという所沢っ子。2013年に開催された特別展「日本の航空技術100年展」に当時高校生だった長尾さんは足を運んだそうですが、その際に買い求めた記念メダルを嬉しそうに見せてくれました。
当時の映像や精密に作られた模型などを使用して航空の歴史を分かりやすく紹介するコーナー
「私は飛行機に限らず、かっこよくて大きな乗り物が大好きだったんです。ここは夢の国です。本物の飛行機やヘリコプターを十数機、レプリカと合わせて展示しています。なるべく近くから見ていただけるようにレイアウトを工夫していますし、操縦席に座れるものもあります」
操縦桿の握り心地、シミュレータで感じるドキドキ。スペースウォーカーの独特の浮遊感。体験することで子どもの心にしっかりと刻み込まれる
見るだけではなく、触って、動かして、五感で学べるコーナーが充実しているのも記念館の面白いところです。昆虫はどうやって飛ぶのか。飛行機の仕組みは? そんな疑問を、動く実験装置を操作しながら学べます。中でも飛行機の操縦を模擬体験できるフライトシミュレータと、宇宙遊泳や低重力体験ができるスペースウォーカー、ワークショップは大人気だそうです。そのどれも、予約も追加料金も不要で利用できます(体格などによる制限があります)。
記念館では通常の展示の他に、さまざまなイベントを開催しています。その中で長尾さんが特に印象に残っているのは、YS-11機の公開イベントだそうです。YS-11は太平洋戦争後に日本のメーカーが初めて開発した旅客機で、名機といわれました。その公開イベントにスタッフとして参加した長尾さんは、来場者の何人かに話をうかがいました。その中には、YS-11のパイロットをしていた方、整備をしていた方、新婚旅行で乗った方など、さまざまな方がいて、皆、口々に思い出を語ってくれたそうです。その周りを若い人たちが囲み、熱心に話を聞いていたことに、長尾さんは感動しました。
「飛行機って、昔の人たちが鳥や虫が飛んでいるのを見て、自分も飛びたいなって夢をみて、そこから始まったと思うんです。その中でたくさん努力し、失敗もあって、それでも夢を追い続けたから飛べたんです。私は、飛行機は単なる機械ではなく、夢を追うことの大切さを象徴するものだと思うんです。当館でそれを感じていただけたらうれしいですね」
飛行場の街・所沢は、子どもたちの夢を育む街でもありました。
協力:所沢航空発祥記念館
※掲載の情報は、2025年3月時点の情報です