プラウドが生まれる街三鷹

「『三鷹』ってどんな街?」 そう尋ねると、さまざまな答えが返って来ます。「座って通勤できるのがいい」「買い物便利」「緑が多く落ち着いている」「文豪たちが愛したところ」──誰もが自分だけの魅力を見つけることができる街、「三鷹」を歩きます。

1 三鷹を歩く

緑と文化が紡ぐ三鷹の街物語

「三鷹」は「新宿」や「東京」にダイレクトにアクセスできるJR中央線・総武線沿線の街。見逃せないのは、総武線各駅停車は「三鷹」駅が始発だということ。座って通勤・通学が可能なのです。また東京メトロ東西線と直通運転を行っているため、「大手町」「日本橋」などに通う方にも魅力でしょう。バス路線が充実しているのも特徴です。隣町の「吉祥寺」など、周辺エリアにも気軽に足を延ばせます。

レトロな佇まいが魅力的なJR「三鷹」駅北口
レトロな佇まいが魅力的なJR「三鷹」駅北口

器と日用雑貨の「かわせみや」。作家、窯元の展示即売会や茶箱、金継のワークショップも開催

買い物やグルメでも満足できるでしょう。駅ビル「アトレヴィ三鷹」はエキナカのデリが充実。南口には「三鷹コラル」などの大型商業施設に加え、大小さまざまな店が並ぶ「三鷹中央通り商店街」もあります。手仕事の良さを発見できる生活雑貨の店「かわせみや」、素材にこだわるフレンチレストランの「キュルティベ」、量り売りやシェアカフェを通じて地域の人たちのつながりの場となっている「野の」はぜひ足を運びたい店です。

風の散歩道にある一軒家レストラン「キュルティべ」。食材に寄り添った料理が評判です

調味料から地元で採れた野菜まで量り売りしてくれる「野の」。日替わりカフェ「まちの台所」も併設

「三鷹」のもう一つの顔といえば豊かな自然です。緑に覆われた「玉川上水」が「三鷹」駅と交わるように流れ、駅前とは思えない落ち着きが感じられます。「玉川上水」に沿ってつくられた「風の散歩道」を木々の緑と色とりどりの花々を愛でながら南東方向に向かうと「井の頭自然文化園」と「井の頭恩賜公園」。ここでは愛らしい小鳥や動物たちと出会うこともできます。

豊かな自然に恵まれた
三鷹は、水と緑の街

「井の頭恩賜公園」の「井の頭池」。歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれた
「井の頭恩賜公園」の「井の頭池」。歌川広重の『名所江戸百景』にも描かれた
「風の散歩道」。沿道に「三鷹市山本有三記念館」や太宰治の「玉鹿石」など、文豪ゆかりの事物がある
「風の散歩道」。沿道に「三鷹市山本有三記念館」や太宰治の「玉鹿石」など、文豪ゆかりの事物がある

都心へのアクセスがよく、自然豊かで落ち着いた環境は、昨日今日始まったことではありません。大正、そして昭和の時代、太宰治や山本有三、吉村昭といった多くの文学者が「三鷹」を愛し、暮らし、ここで創作の火を燃やしました。今でもその面影は、複数ある文学者の記念館はもちろん、街角のあちらこちらで感じることができます。「三鷹の森ジブリ美術館」は文化都市「三鷹」が育んできたアートの現在形を知ることができる場所といえるでしょう。

三鷹ゆかりの作家、吉村昭の書斎を再現した「吉村昭書斎」。執筆中の作家の姿を彷彿させる臨場感あふれる空間(公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団)
三鷹ゆかりの作家、吉村昭の書斎を再現した「吉村昭書斎」。執筆中の作家の姿を彷彿させる臨場感あふれる空間
(公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団)
「吉村昭書斎」の「交流棟」では、吉村昭と妻・津村節子の書籍を自由に読むことができる(公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団)
「吉村昭書斎」の「交流棟」では、吉村昭と妻・津村節子の書籍を自由に読むことができる
(公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団)

「三鷹市美術ギャラリー」「三鷹市芸術文化センター」など、文化に気軽に触れることができる施設もそろい、「国立天文台」では天体観測会や子ども向けのイベントも開催。「三鷹」では、子どもたちの笑顔とともに、文化も豊かに育っています。

2 新しい風

三鷹を愛した文豪の邸宅は
いまも子どもたちの夢を育む

『君たちはどう生きるか』をお読みになったことはあるでしょうか。この児童書は、日本が戦争に向かう時期に刊行が始まった「日本少国民文庫」シリーズの1冊として世に出ました。この「日本少国民文庫」の編集の中心になったのが、名作『路傍の石』で知られる文豪・山本有三。氏が三鷹時代に住んだ自邸は現在公開され、市民の憩いの場となっています。

「三鷹市山本有三記念館」は、JR「三鷹」駅南口から「風の散歩道」を歩いて約12分
「三鷹市山本有三記念館」は、JR「三鷹」駅南口から「風の散歩道」を歩いて約12分
玄関の上に掲げられた鳥のレリーフは「日本少国民文庫」の意匠と同じもの。今も昔も子どもたちを優しく迎えている
玄関の上に掲げられた鳥のレリーフは「日本少国民文庫」の意匠と同じもの。今も昔も子どもたちを優しく迎えている

「『三鷹市山本有三記念館』へようこそ。当館は山本有三が1936年から約10年間、家族とともに暮らした家です。有三の自筆原稿や書簡、愛用の品などを展示するとともに、子ども向けから一般向けまで、さまざまなイベントを開催しています。建物は大正末期に建てられた本格的な洋風建築で、建築ファンの方にも人気なんですよ」

スクラッチタイルで組まれたアーチが印象的な部屋は山本有三の長女が使用していた
スクラッチタイルで組まれたアーチが印象的な部屋は山本有三の長女が使用していた
学芸員の三浦穂高さん。「文学ファンにも建築ファンにも楽しめると思います。お庭も素敵です。ぜひ足をお運びください」
学芸員の三浦穂高さん。「文学ファンにも建築ファンにも楽しめると思います。
お庭も素敵です。ぜひ足をお運びください」

こう紹介してくれたのは、学芸員の三浦穂高さん。文学部の学生だったころ、三浦さんは文学散歩で三鷹のあちこちを歩いたそうですが、この美しい建物を見て「なんて素敵なんだろう」と思わずつぶやいてしまったそうです。

建物は大正末期に実業家・清田龍之助の邸宅として建てられた。山本有三は当時住んでいた吉祥寺の家が手狭になり1936年に購入、転居した
建物は大正末期に実業家・清田龍之助の邸宅として建てられた。
山本有三は当時住んでいた吉祥寺の家が手狭になり1936年に購入、転居した
設計者は残念ながら判明していない。しかしフランク・ロイド・ライトの影響が指摘されている
設計者は残念ながら判明していない。しかしフランク・ロイド・ライトの影響が指摘されている

館内には山本有三愛用の品も展示されている

三鷹市の有形文化財に指定されている建物は一部を除いて公開。どの部屋もシンプルながら上質な設えで、温かい雰囲気に満ちています。有三の執筆風景、煮詰まって造りつけのベンチに寝転ぶ様子、庭で遊ぶ子どもたちに注ぐ優しい眼差し。そんなことが容易に想像できるような、親しみやすい場所です。

大正時代に建てられた洋風建築は
街の安らぎの場所に

建物の南側と北側に美しい庭園がある。記念館の入館料は300円(中学生以下など、無料となる場合もある)だが、庭園は入場無料
建物の南側と北側に美しい庭園がある。
記念館の入館料は300円(中学生以下など、無料となる場合もある)だが、庭園は入場無料

終戦後進駐軍に接収されたため、山本有三はやむなくこの家を離れた。
「もし、家を接収されなかったら、私も市民として、三鷹にとどまっていたことであろう」「三鷹は私にとって忘れがたい土地である」と後に語っている

「1階の食堂として使われていた部屋で、朗読会やミニコンサートなどのイベントをほぼ毎月開催しています。絵本や紙芝居を使った『おはなし会』はこの4月に69回を迎えた人気イベントなんですよ。毎回、小さなお子さんと親御さんでいっぱいになります」

イベントの内容、スケジュール、参加方法は「公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団」のウェブサイトなどで公開している

開放的で温かな雰囲気の記念館には子どもたちの笑顔がよく似合います。実はここ、山本有三が暮らしていた時代も子どもたちの明るい声であふれていました。氏は自邸の応接間を開放し、子どもたちに読んでもらいたい本を書架に並べ、近所の子どもたちに自由に読ませていたのです。この「ミタカ少国民文庫」は戦争に向かう世相の中、子どもたちがのびのびと想像の翼を羽ばたかせることができる数少ない場所であったことでしょう。記念館で現在開催している「おはなし会」は、氏のこうした子どもたちへの想いを受け継いでいるのです。

二つある庭園では四季を通じて花と緑を楽しめる。学芸員の三浦さんのお薦めは秋の紅葉
二つある庭園では四季を通じて花と緑を楽しめる。学芸員の三浦さんのお薦めは秋の紅葉

「陽当たりがよく温かい2階の角部屋に、絵本を中心に児童書を揃えています。当館は中学生以下無料ですので、ぜひ通って、本に親しんでいただければと思います。本は三鷹市立図書館さんに貸していただき、定期的に入れ替えています」
山本有三が愛し「三鷹」の子どもたちが遊んだこの家は、今も子どもたちの夢を育てる場所であり続けています。

取材協力:三鷹市山本有三記念館
写真提供:公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団
*休館のお知らせ:施設の改修工事に伴い、2025年5月12日(月)〜2026年4月下旬(予定)まで長期休館いたします。
 期間中は山本有三記念館はご利用いただけません。有三記念公園は一部利用できない期間があります。

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※掲載の情報は、2025年4月時点の情報です