自由が丘は“おしゃれ”だけにとどまらない街です。そこには、暮らしのひとつひとつを丁寧に愉しむ文化が息づいています。街を歩き、季節を感じ、心地よい人と店に出会う──。そのすべてが、この街の上質な日常をかたちづくっています。華やかさの奥にある静けさこそ、自由が丘が長く愛され続ける理由なのかもしれません。いつも新しい発見のある街、自由が丘を歩きます。
ベネチアの街並みを再現した「ラ・ヴィータ」
東急東横線と東急大井町線が通り、「渋谷」駅まで10分、「横浜」駅まで20分で行ける「自由が丘」はアクセスに優れた街。駅前を中心に多くの店が集まっていますが、この街の「暮らす街」としての特徴は、魅力的な通りがいくつもあること。「マリ・クレール通り」や「カトレア通り」など、それぞれに個性があり、カフェやブティックが表情豊かに並んでいます。石畳の小径や路地にも風情が感じられ、歩くたびに発見があり、街が語りかけてくるようです。
日々の暮らしを支える店も充実しています。スーパーマーケットは街の中心部に「東急ストア」や「ピーコックストア」などがあり、少し足を伸ばせば「紀ノ国屋」。駅前にはたくさんの店が並び、生活必需品はほぼ揃います。広々とした空間が魅力の「トレインチ自由が丘」、レトロで親しみやすい「自由が丘デパート」など、個性的な商業施設もあります。
「自由が丘」が“スイーツの街”と呼ばれる背景には、街の歴史をつくってきた名店の存在があります。その象徴が、世界大会で数々の優賞歴を持つパティシエ・辻󠄀口博啓氏が初めて開いた「モンサンクレール」。1998年の誕生以来、季節感と芸術性をまとったスイーツで、自由が丘の午後に上質なひとときを育んできました。
一方、和の甘味文化を静かに支えるのが、1999年創業の「古桑庵」。大正末期の邸宅を活かした茶房で、庭を眺めながら抹茶や和スイーツを味わう時間は格別です。

「自由が丘 デュ アオーネ」など新しい商業施設が次々と生まれ、駅前では再開発事業が進行中です。この街では常に新しい何かが生まれていますが、このように進化を続けられるのは、街の人々に自然と歴史への敬意があるからでしょう。「九品仏川緑道」にはベンチが並べられ、街路樹の下、人々が思いおもいに愉しんでいます。「熊野神社」や「浄真寺」には静謐な空気が流れ、街に落ち着きをもたらしています。
賑やかな駅前から5〜10分ほど歩くと住宅街が広がり、静かで落ち着いた環境に変わります。「自由が丘」が備えている“便利さと落ち着きの好バランス”は、この街に暮らせば暮らすほど実感できるでしょう。
「自由が丘」はインテリアと雑貨の街としても知られています。暮らしを輝かせてくれるアイテムは、この街に暮らす人々にとって必需品。この街にはさまざまな店が並んでいますが、その中で特に注目されているのが「BROCANTE(ブロカント)」です。
「『BROCANTE』へようこそ。『BROCANTE』は、フランスのアンティーク家具や雑貨を揃えた店です。アンティークと言っても美術館に飾るようなものではなく、普段づかいできるものばかりです」
そう話してくれたのは、「BROCANTE」のオーナー、松田尚美さん。アンティークを日常の中で使って欲しいというのが松田さんの願いです。
「古いものほど時間をかけ、手間をかけて作られています。作り手の思いが込められているせいか、古いものは佇まいが違うんですよ。だからでしょうか、アンティークは使う人の心に訴えてくるものがあります。そしてそこから世界が広がっていくんです」
例えばアンティークの皿を手にとると、「これに目玉焼きを載せたらかわいいだろうな」といった思いが自然とわいてきます。そこから「ハーブを添えてみようかな」「そういえばルッコラを育てたことなかったな」「こんどやってみようかな」と次々とつながり、松田さんは実際にルッコラの栽培を始めたそうです。すると「自分で育てた野菜ってこんなに美味しいんだ」と大きな発見。愉快な気持ちがわいてきたり、気分が高揚してきたり、世界がどんどん広がっていったり。アンティークを普段づかいするというのはそういうことだと松田さんは教えてくれます。

「BROCANTE」に並んでいるのは、椅子やキャビネットなどの家具、皿などの実用品、インテリアを引き立ててくれる小物類もあります。気軽に手に取れるアイテムからこだわりの逸品まで揃い、さまざまな楽しみ方ができます。
「実はわたし、子どものころから『自由が丘』に足繁く通っていました。雑貨大好きなわたしは、当時あったアンティークの店に行っては、ため息をついていたんです。『BROCANTE』のお客様は、若い方からシニアの方まで、幅広いです。中には、品物を熱心に見比べている若い男の子や、『義理の母にBROCANTEで買えば間違いないと言われて来たけど本当だった』なんて嬉しいことをおっしゃってくださるお客様もいらっしゃいます」
松田さんにはお子さんが二人いますが、アンティークの食器を日常的に使っているそうです。「それで彼らがアンティークに興味を持ったのかというと、そんなことはないようですが」と松田さんは笑います。しかし、日常を楽しむこと、美しいモノやコトに心をときめかす暮らしの豊かさは何となく伝わっているのではないかともおっしゃいます。
松田さんが自由が丘に「BROCANTE」をオープンして21年。暮らしを大切にする人たちが住むこの街でアンティークの魅力を発信し続けています。
取材協力:BROCANTE
※掲載の情報は、2025年11月時点の情報です