プラウドが生まれる街本駒込

本駒込は、江戸の美意識を今に伝える六義園をはじめ、小石川植物園や染井稲荷神社など、緑と歴史文化が身近にある街です。江戸時代に武家屋敷が広がり、明治時代に政財界人の邸宅が並んだ伝統と品格を守り続ける街。“住まいの本質”を知る人たちが住む「本駒込」を歩きます。

1 本駒込を歩く

知と緑に寄り添う
本駒込の穏やかな暮らし

“住まいの本質”とは何でしょうか。まず挙げたいのは、移動しやすい場所であるということ。「本駒込」は、「本駒込」駅から東京メトロ南北線、「白山」駅から都営三田線、「千駄木」駅から東京メトロ千代田線、「駒込」駅からJR山手線が利用可能。行きたい所へ自由自在に行けるかどうか。それが暮らしの質を左右します。

「小石川植物園」は、東京大学附属の研究施設。広大な敷地に多様な植物が育ち、四季の移ろいを感じながら自然と向き合える場
「小石川植物園」は、東京大学附属の研究施設。広大な敷地に多様な植物が育ち、四季の移ろいを感じながら自然と向き合える場

動くためには休息が大切。それには自然の力が必要です。「本駒込」エリアには、江戸の二大庭園のひとつに数えられる「六義園」、日本最古の植物園「小石川植物園」、「ソメイヨシノ」で知られる「染井稲荷神社」などがあり、日々の暮らしの中で自然を身近に感じることができます。ここでは癒やしのひとときと共に、先人が磨いてきた文化を感じることもできます。

「小松庵総本家 駒込本店」は、大正11年創業。今年100周年を迎える江戸蕎麦の老舗。個室「蕎学洞」も備え、語らいの場としても親しまれている
「レストラン ラ・セゾン」は、本場のフランス家庭料理をワインと共に楽しめる店。旬の食材を使った体にやさしい料理が人気です
「レストラン ラ・セゾン」は、本場のフランス家庭料理をワインと共に楽しめる店。旬の食材を使った体にやさしい料理が人気です

上質な住まいには優雅さも求められます。スーパーマーケット、ドラッグストア、金融機関、飲食店などの便利な施設が揃うと共に、「本駒込」には独特の落ち着きがあります。それはこの街が歩んできた歴史のせいかもしれません。スーパーマーケットと各種ショップや飲食店が入居する「文京グリーンコート」は、湯川秀樹らを輩出した理化学研究所の跡地に建っています。
江戸蕎麦の老舗「小松庵総本家 駒込本店」、フランス家庭料理を気軽に楽しめる「レストラン ラ・セゾン」、堀口珈琲の豆を一杯一杯淹れる「アオアシカフェ」といった暮らしに彩りを与えてくれる店も。少し足を伸ばせば白山エリアと谷根千エリアで、人気の街を日常の延長として楽しめます。

「アオアシカフェ」は、自家製のシフォンケーキとスペシャルコーヒーで心地良い時間を過ごせる店
「アオアシカフェ」は、自家製のシフォンケーキとスペシャルコーヒーで心地良い時間を過ごせる店

ゆったりとした空気の
本駒込時間を楽しむ

上質な街はそれに相応しい歴史の上に成り立っています。「本駒込」一帯は江戸時代に武家屋敷が広がっていた場所で、「白山神社」「吉祥寺」など由緒ある神社仏閣も多く、それが落ち着いた景観を作っています。

「吉祥寺」は桜の名所としても知られている。参道の両側に並ぶ桜は圧巻
「吉祥寺」は桜の名所としても知られている。参道の両側に並ぶ桜は圧巻
「六義園」は、和歌の世界観を映した回遊式庭園。緑に囲まれた周辺の景観にも癒されます
「六義園」は、和歌の世界観を映した回遊式庭園。緑に囲まれた周辺の景観にも癒されます

「本駒込」は明治・大正期には政財界の要人の邸宅が並ぶ街となりました。「六義園」と「本駒込」の文化的中核といえる「東洋文庫」がある場所には、かつて三菱財閥の岩崎弥太郎の別邸が建っていました。この街には教育施設も集まり、文教エリアの性格も帯びています。歴史と学びが日常に溶け込み、落ち着きと知性を感じさせる「本駒込」の空気は、こうして育まれてきたのです。

2 新しい風

本駒込に息づく
知を育むミュージアム

文京区は“文(ふみ)の京(みやこ)”。では「本駒込」の“文”の中心はというと、そのひとつは「東洋文庫」です。「六義園」の近くに建つ白壁の建物は、本がずらりと並ぶ書架を表現したもの。中に入ると、若いカップルからシニアまで、みな楽しそうです。実は「東洋文庫」の1階から2階までは、一般の方を対象とした「東洋文庫ミュージアム」となっているのです。

入口の目の前に広がる「オリエントホール」。今年1月のリニューアルオープンに伴い、階段下に東洋学入門図書コーナーが新設された
入口の目の前に広がる「オリエントホール」。今年1月のリニューアルオープンに伴い、階段下に東洋学入門図書コーナーが新設された
案内していただいた、東洋文庫総務部総務課参事の小林敬子さん
案内していただいた、東洋文庫総務部総務課参事の小林敬子さん

「『東洋文庫ミュージアム』へようこそ」と和やかに迎えてくれたのは、総務課参事の小林敬子さん。「研究者のための施設だと思っていました」と伝えると、「そのイメージが強いですよね」とちょっと残念そうに返ってきました。

そう考えるのも無理はないでしょう。「東洋文庫」は日本最古・最大の東洋学の研究図書館なのですから。蔵書は約100万冊。その中に国宝5点と重要文化財7点。「東洋文庫」は世界の東洋学五大研究図書館の一つに数えられているほどです。

リニューアルを機に、展示ケースの拡大や側面のガラス張りなどを行った。これにより、車椅子利用者や背の低い子どもも鑑賞しやすくなった
リニューアルを機に、展示ケースの拡大や側面のガラス張りなどを行った。
これにより、車椅子利用者や背の低い子どもも鑑賞しやすくなった

「その膨大なコレクションを一般の方に見ていただきたい、多くの方にアジアの歴史と文化に興味を持っていただきたいと2011年に開設したのが『東洋文庫ミュージアム』です。『広く一般に、開けたものに』というのがコンセプトで、誰にでも楽しめるよう、細かいところまで工夫しています。さらに親しんでいただけるよう、2024年末から約1年間かけて改装いたしました」

展示物を引き立てながら静かな奥行きを演出。陰影のバランスが美しく、思索へと誘う照明設計
展示物を引き立てながら静かな奥行きを演出。陰影のバランスが美しく、思索へと誘う照明設計

暮らしのそばで
世界と向き合う知の空間

東洋文庫本館とレストラン「オリエント・カフェ」をつなぐ「知恵の小径」。写真右に庭園「シーボルト・ガルテン」が広がっている
東洋文庫本館とレストラン「オリエント・カフェ」をつなぐ「知恵の小径」。写真右に庭園「シーボルト・ガルテン」が広がっている

展示されているのは、芸術作品のように手をかけて創られた本、何度もめくって読んだ跡が残った本……。文字情報だけではない何か、当時の息吹のようなものが伝わってきて、それは実物を目にすることでしか得られないでしょう。すべて「東洋文庫」の収蔵品であることにも、その奥行きの深さに心を動かされます。

観る者に圧倒的な迫力で迫る「モリソン書庫」。並べられている本は正規の手続きを踏めば閲覧可能
観る者に圧倒的な迫力で迫る「モリソン書庫」。並べられている本は正規の手続きを踏めば閲覧可能

その圧倒的なスケール感を最も感じられるのが「モリソン書庫」です。天井まで続く書棚にずらりと24000冊。大迫力です。この「モリソン書庫」に並べられている本は、オーストラリアのジャーナリスト G.E.モリソンが19世紀末から20世紀初頭にかけて収集したもので、三菱第三代社長岩崎久彌が買い取り、それを核に1924年に開設したのが「東洋文庫」です。

庭園「シーボルト・ガルテン」にはシーボルトの『日本植物誌』に記載されている植物が植えられている
庭園「シーボルト・ガルテン」にはシーボルトの『日本植物誌』に記載されている植物が植えられている
リニューアルでより開放的になったエントランス。光と素材の調和が心地よく、街から知の空間へと自然に導く

岩崎久彌が「東洋文庫」に相応しい場所として選んだのは、ここ「本駒込」でした。「六義園」を始めとする歴史的な庭園や文化資産が点在するこの一帯は、古くから“文化を育てる環境”としての素地を備えていました。自然を愛で、知を深めることの両方が日常の中にある街として、「本駒込」はその思想を今に伝えています。
小林さんに「東洋文庫ミュージアム」を一言で表現するとと訊ねると、「知れば知るほど好きになる、興味がわいてくるミュージアム」と答えてくれました。年3回替わる企画展、平常展も見どころがいっぱい。四季折々に楽しめる庭園も魅力です。

目の前に広がる「シーボルト・ガルテン」の景観も魅力の「オリエント・カフェ」。運営する小岩井農場と東洋文庫は、岩崎久彌を通して深い関わりがある
目の前に広がる「シーボルト・ガルテン」の景観も魅力の「オリエント・カフェ」。
運営する小岩井農場と東洋文庫は、岩崎久彌を通して深い関わりがある
小岩井農場産の牛肉、乳製品、野菜などを食材に使用。ミュージアムの企画展に因んだメニューも楽しめる
小岩井農場産の牛肉、乳製品、野菜などを食材に使用。ミュージアムの企画展に因んだメニューも楽しめる

ミュージアム併設の「オリエント・カフェ」は小岩井農場が運営するレストランですが、ミュージアムの利用に関係なく入店できます。ランチ、ティータイム、ディナーと利用でき、また、時季に応じて小岩井農場直送の野菜販売なども行われます。「東洋文庫ミュージアム」は、「本駒込」に暮らす人たちにとって、知的好奇心を刺激する場所であるとともに、オアシスでもあるのです。

取材協力:東洋文庫ミュージアム

3 この街の物件はこちら

※掲載の情報は、2026年5月時点の情報です