「世田谷中町」は東京都世田谷区の南側、東急大井町線沿線の街。低層住宅が並び、緑が豊かなこの街は、世田谷らしさを濃密に感じられるところ。豊かな暮らしを築く場としてふさわしい「世田谷中町」を歩きます。
最寄り駅は東急大井町線の「上野毛」駅と「等々力」駅。どちらの駅前も賑やか過ぎず、かといって決して不便ではなく、日々の暮らしに必用な利便性と穏やかさが共存しています。東急大井町線は「二子玉川」駅や「自由が丘」駅につながっているので、この二つの街へもアクセスできます。バス路線も充実し、タクシーも気軽に利用できる距離。「世田谷中町」なら、落ち着きも洗練も手にできます。
世田谷区といえば閑静な住宅街を頭に浮かべる方が多いのではないでしょうか。「世田谷中町」はまさにそのイメージ。広い敷地の低層住宅が並ぶ、美しい街並みです。この街にはインターナショナルスクールなどの教育機関も点在し、閑静な住宅街の中に、どこか洗練された雰囲気も漂っています。
次に世田谷区に抱くイメージは、自然を身近に感じられる、ということでしょうか。「世田谷中町」はその期待を裏切らない街です。隣接する「等々力渓谷」は東京23区唯一の渓谷で、駅近でありながら郊外の森の中のような雰囲気。パワースポットとしても知られています。
南に進むと、東京を代表する河川の一つである「多摩川」。広い河川敷は、ウォーキング、ランニング、サイクリングと、さまざまに利用されています。その他にも「上野毛自然公園」など、緑のオアシスが街に点在しています。リフレッシュに体力づくりに、自然の恵みを心と体で感じられる街です。
買い物環境は、その街の暮らしやすさを左右する大切な要素のひとつ。「世田谷中町」の場合、「上野毛」駅前には「オオゼキ」、「等々力」駅前には「成城石井」があります。そのほかにもドラッグストアなど、日々の暮らしを支える店舗が揃っています。

その一方で、個人経営の上質な店や地域で長く愛されてきた店も多く、そうした店がこの街での豊かな暮らしを支えているといえるかもしれません。
「toe coffee」は、おいしいコーヒーとお菓子を介して、店と人、客と客がつながる場所。帰り際に店主は「今日もよい一日を」と送り出し、客は「またね」と返しています。
「蕎麦はやかわ」は手打ち自家製麺と地元産の野菜にこだわる店でありながら気軽に利用できる人気の店。この店で2018年から蕎麦を打ち続けてきた店主は「この街のお客さまは手の込んだ料理をわかってくださるのでやりがいがある」と語っています。
街の魅力を語るうえで、スイーツの名店は欠かせません。「世田谷中町」の中でも注目したいのが「Pâtisserie Kyohei Mikami」(パティスリー キョウヘイ ミカミ)です。「トシ・ヨロイヅカ」でスーシェフを務めた三上恭平さんの店で、スイーツの美味しさはもちろん、この店だけでできるユニークな体験も評判です。三上さんに直接うかがいました。
「いらっしゃいませ。『上野毛』駅からけっこう遠かったでしょう。当店は住宅街の中にポツンとある店で、ちょっとアクセスがわるくて申し訳ありません」
三上さんはそのようにおっしゃいますが、立地のハンデをものともしない人気店です。しかも営業はほぼ週末のみ。それでもファンがしっかりとついています。
グランドシェフの三上恭平さん。界隈でお好きなところはと尋ねると、「谷沢川」と即答。
「『谷沢川』が流れる『等々力渓谷』は素晴らしいですし、用賀方向に行くと桜並木もあるんですよ」
「営業日が限られているのは、私やスタッフの手が回らないというのもあります。例えば当店のケーキですが、一つひとつにかなりの手間をかけています。私は『持ち帰れるアート作品』と表現していますが、最後までしっかりと手を加え、お入れする箱も宝石箱をイメージしたオリジナルのものを使っています。箱を開けたときに目に飛び込んでくる美しさ、香り、それを特別なものにしたいと思っています。
ケーキは毎週土曜日のみの販売です。手間がかかっているのでお値段は少々かさむのですが、それをご理解いただけるお客様にご購入いただいています。私の印象では、お客様の8割ほどが近隣の方々だと思います」

アートのように美しい三上さんのケーキは唯一無二。それに輪をかけてユニークなのが、店内の特別室で食べる予約制のデザートコース「甘味懐石」です。客席は5つだけ。カウンター席の向こうで三上さんがスイーツをその都度つくり、提供します。起承転結を考えて甘さの強弱を調整し、時に苦味なども挟みながらの10皿。それを2〜3時間かけて楽しみます。
「10皿はもちろんどれもスイーツですが、今まで食べたことのないようなものを意識して考案しています。例えば魚を使ったスイーツ。魚は実はフルーツととても相性がいいんです。動物性の食材が持つ旨味。それを意識して使うとスイーツに深みが出てきます」
予約制の月替りパフェ「一品甘味」。
「『甘味懐石』では10品を使って新しい食の楽しみ方を提案していますが、この『一品甘味』はそれを一つに凝縮したものです」と三上さん
しかも三上さんによる詳しい解説つき。食材の特徴、組み合わせ方、調理法、皿の流れ。スイーツのコンサルタントとしての顔も持ち、今までに200以上の企業や店のコンサルティングを手掛けてきた三上さんの引き出しは膨大で、そこから紡ぎ出される話は興味深いものばかりです。
静かな環境が気に入ってこの街に店を開いたと語る三上さんですが、街への感謝という意味を込めて夏祭りイベントを毎年行っています。
夏祭りイベントでは限定スイーツの販売もある。
写真は2026年の夏祭り限定「桃の包み焼き」
「店の前のスペースで焼き鳥やお好み焼きを作ってご提供しています。街の皆さんと交流して、楽しく過ごしていますよ。今は隣のビストロのお店と一緒にやっていますが、ゆくゆくは街の皆さんと共にもっと大規模にやりたいと考えています」
三上さんがこの街に店を開いて3年ほど。街と共に歩み続ける三上さんの次の一手が楽しみです。
※掲載の情報は、2026年10月時点の情報です