プラウド誌
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今、迎えている「Society5.0=超スマート社会」と呼ばれる時代。さまざまな社会の課題に対して最新技術を用い、未来を形づくっていくものです。農業に関しても、高齢化・後継者不足など多くの問題を抱えています。これらを解決するため、さまざまな形で導入され始めているのがスマート農業です。次世代へとつなげる農業の取り組みスマート農業Smart agriculture監修/東京農業大学 バイオロボティクス研究室 佐々木豊教授 Photo/Getty Images Text/阿部菜美子スマート農業が導く、次世代の野菜づくりPickup Keyword農地や農作物の状態をICTやIoT、AIで観察し、病気を早期検知するなどしてきめ細かく制御。収穫量を増やし品質向上などを図る農業管理手法のこと。国内農機メーカーでは、パソコンとスマホと農機をクラウドで結び、農業全般に及ぶ細かな情報を一元管理できるサービスを開発。農業の見える化を実現させることで、肥料の投入量などの作業ミスを減らせ、コスト削減にもつながることがあります。精密農法フード(食品)とテクノロジーを掛け合わせた造語。世界的な人口増加に対する食料供給や、持続可能な食のシステム構築などが期待されています。ある食品メーカーでは、大豆を原料にし、味や機能性をコントロールすることで旨みや栄養価を増大させ、さらに肉同様の食感を再現できる機能性植物肉を開発し注目を集めています。ハンバーガーショップやコンビニエンスストアの商品としても採用が始まっています。フードテック農業(Agriculture)とテクノロジーを融合し、農業現場の課題を解決するアグリテック。たとえばスペインの会社が開発した農業ロボットは、高齢化が進み慢性的な人手不足であるという問題を解消するためのもの。果物を収穫するこのロボットは、成熟具合まで判断し、果実を傷つけないように実ではなく茎を掴んで収穫をすることができます。農業ロボットは24時間働けることも大きなメリットです。アグリテックさまざまなIoTを使って、土壌の状態や天候、肥料、行った作業などをデータ化するもの。国内農機メーカーと国立研究開発法人は、露地野菜のスマート生産システムの共同研究を進めています。土壌データ等の収集手法を確立し、環境・生育情報等のビッグデータに基づく露地野菜の収穫時期・収穫量の予測や、栽培改善など、データを活用した生産管理技術を確立し、収量・品質の向上につなげていきます。スマート生産システムスマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用することで、省力化や精密化、高品質生産の実現などを推進している取り組みを表す言葉です。このスマート農業の中にも、さまざまなものがあります。たとえば、農業とテクノロジーを融合した「アグリテック」で農業ロボットを使用し、従来の農業の課題を解決しています。また、農地や農作物の状態をICTやIoT*、AIで観察する「精密農法」や、さまざまなIoTを使って生産性の向上などを行う「スマート生産システム」もあります。そして、食料不足などを解決するためにフードとテクノロジーを融合させた「フードテック」で食の新しい可能性も追求しています。日本の農業は食の安全と伝統を守りながら持続可能なものへと日々変化を続けているのです。*IoT 【Internet of Things】情報・通信を行うコンピュータ機器だけでなく、暮らしの中に存在するあらゆるモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと12 SUMMER 2021監修/東京農業大学 バイオロボティクス研究室 佐々木豊教授 Photo/Getty Images Text/阿部菜美子

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