プラウド誌
30/42

花火に込めた本質的な メッセージを伝えたい 夏の風物詩、花火。年齢や性別はもちろん、言語の壁をも超えて人々を夢中にさせます。日本橋丸玉屋は、日本における花火のエンターテインメント化を推進してきた草分けのひとつです。 創業は1990年。当時は海外においてショーアップされた花火が注目され始めた時期で、日本橋丸玉屋の面々も強く刺激されました。彼らは、日本古来の伝統的な手法を継承しつつ、コンピュータシステムで点火する技術を導入。音楽とシンクロさせることで花火の魅力を引き出す「音楽花火」を皮切りに、多種多様な演出にチャレンジし、マーケットを開拓してきました。「ショーアップされた音楽花火は、当初からたくさんの方に拍手をいただくことができました。一方で、純粋に花火を愛でたいという感性をお持ちの方からは、音楽と同期させることに対して厳しい意見をいただいた時代もありました。当社の黎明期を支えた社長を含め諸先輩方の話を聞くと、新たな分野を開拓していくにはかなりのエネルギーが必要だったようです」 そう話すのは、専務取締役の岩野成さん。日本橋丸玉屋のスタッフは自らの信じる道を美が生まれる瞬間ひたむきに突き進んできました。「花火はある程度の物量を打ち上げると、必然的に拍手が起こります。けれど、そこに甘んじてしまっては予定調和の感動しか生まれません。私たちは常にこれまでの演出とは一線を画す仕掛けを考え、見る方の琴線に触れる花火を目指してきました」 日本橋丸玉屋では、音楽花火以外にも独創性に富む数々の演出を考案してきました。初めに紹介するのは、地上数十メートルの高さから360°に放つ『花火タワー』。そもそも花火は垂直に打ち上げるのが原則ですが、上空から繰り出すことによって常識を覆す斬新な演出に成功しました。続いては『花火列車』です。定点から打ち上げ、定点から鑑賞するというこれまでの花火の図式を打ち破り、双方を動かす花火ショーを実現。移動する列車を追随するように打ち上がる花火の美しさが高く評価され、『鉄旅オブザイヤー2018』において、イベント主催者が準グランプ予定調和を超え、琴線に触れる。生きる力となる花火を創造する『花火タワー』花火タワーを組む職人たち。一人ひとりがコンピュータのプログラミングと並立して現場設営や花火の打ち上げなどもこなす。まさにプロフェッショナルプラネタリウムのように、映像で花火を楽しめる『ハナビリウム』。また、実際の花火でも海外の事業者と共同開発でゴミの出ない演出効果用花火を開発するなど、社会的な持続可能性にも配慮している28 SUMMER 2021させることに対して厳しい意見をいただいた時代もありました。当社の黎明期を支えた社長を含め諸先輩方の話を聞くと、新たな分野を開拓していくにはかなりのエネルギーが必要だったようです」 そう話すのは、専務取締役の岩野成さん。日本橋丸玉屋のスタッフは自らの信じる道をひたむきに突き進んできました。「花火はある程度の物量を打ち上げると、必然的に拍手が起こります。けれど、そこに甘んじてしまっては予定調和の感動しか生まれません。私たちは常にこれまでの演出とは一線を画す仕掛けを考え、見る方の琴線に触れる花火を目指してきました」 日本橋丸玉屋では、音楽花火以外にも独創性に富む数々の演出を考案してきました。初めに紹介するのは、地上数十メートルの高さから360°に放つ『花火タワー』。そもそも花火は垂直に打ち上げるのが原則ですが、上空から繰り出すことによって常識を覆す斬新な演出に成功しました。続いては『花火列車』です。定点から打ち上げ、定点から鑑賞するというこれまでの花火の図式を打ち破り、双方を動かす花火ショーを実現。移動する列車を追随するように打ち上がる花火の美しさが高く評価され、『鉄旅オブザイヤー2018』において、イベント主催者が準グランプ

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る