プラウド誌
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毎週日曜日は町家の玄関を店舗として販売し、平日は“振り売り”にまわります。「振り売りとは、本来農家の方が自ら育てた野菜をトラックなどに積み、個人宅や料理屋のお得意先を一軒一軒回る、京都の伝統的な販売方法。お客さんから直接要望を聞けるからこそ、農家の方は栽培環境や方法を改善したり、『こうしてみよう』と試してみたりして、京野菜の質を高めてきました」 町家の販売スペースには、栄養をたっぷり蓄えたツヤツヤの野菜が並びます。お客さんには、収穫時の天気や畑の様子など、ひと言添えて野菜の説明をしているという角谷さん。「誰かが育て、誰かが運び、誰かが買って、誰かが調理するという想像をしてほしい。そこからまた京野菜を選んでもらえることもあると思います」 おいしくいただくことが、農家と消費者が一緒になって育んできた京野菜の文化の一端を担うことになる。そんな気持ちでいただくと、また味わい深いものになりそうです。1. 里山に囲まれたつくだ農園の畑のひとつ。2. 収穫されたばかりの美しい金時人参。 3. シャキシャキした食感でサラダや鍋ものに重宝する京水菜。 4, 5. 伝統野菜、すぐきの漬け物。京都市北区の世界遺産・賀茂別雷神社(通称・上賀茂神社)周辺で桃山時代から栽培され、現在もごく限られた農家が伝統を受け継ぎ栽培を続けている、とても希少な野菜。300年以上すぐきを栽培し続ける「御すぐき處京都なり田」11代目成田典子さんは「漢字では酸茎。12月は新漬けであっさりと、夏は酸味が強いですが、夏すぐきでないと、というお客さんも」と話します京都には、京野菜の質を向上させる文化がある京都大学工学部で建築を学んだ後、Gg’sを立ち上げ、20〜30軒以上の農家と提携して地野菜の販売を開始Kaori SumiyaGg’s 角谷香織さん13245 SUMMER 20215

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