建築デザイン

プラウドシティ武蔵野三鷹

メインビジュアル

地域に開かれた公園を中心に、
緑と賑わいを享受する大規模マンション

三鷹駅から徒歩10分、吉祥寺の街からも徒歩圏内という好立地に誕生した、全334戸の「プラウドシティ武蔵野三鷹」。地域の人々も自由に行き交う通路を兼ねた広い公園を中央に配し、街並みを一変させたビッグプロジェクトの見どころを担当者が語ります。

緑と拮抗して存在感を高め合う外観のデザイン

「プラウドシティ武蔵野三鷹」は三鷹駅から徒歩10分の緑豊かな住宅地にあり、人気の街・吉祥寺にもほど近い街区に計画された、総戸数334戸の大規模プロジェクトです。こんな恵まれたロケーションの敷地にこれほどの規模のマンションが建つこと自体、非常に稀有だといえるでしょう。それゆえ、計画当初から「オーセンティック」や「先進的」といった言語で表せそうな、二つの街のエッセンスをどうにかデザインに落とし込もうと悩み続けていました。

敷地内には、地域住民に開放する「公開空地」を配する必要があったため、南北に長い敷地の中ほどに、通り抜け可能な通路を兼ねた1,600㎡超の公園を設け、そこを境に北棟と南棟の2棟を配することにしました。

建物の外観は、周囲に植え込む豊富な緑に寄り添うというよりは、緑と拮抗して存在感を高め合うようなデザインにしたいと考え、橙色系のタイルをアクセントに用いました。また、長大な壁のボリュームが続く圧迫感を軽減するため、橙色と黒を交互に組み合わせて分節したり、バルコニーを仕切る壁に欠き込みを入れるなど、単調なデザインにならないように、随所に工夫を凝らしています。

地域住民が広く楽しめる緑豊かなオープンスペース

街区のシンボルとなる中央の通路兼公園は、今回のプロジェクトの要です。実は当初、現在の共用棟がある辺りには機械式の駐車場を設ける計画でしたが、もっと積極的に広い公開空地を生かして地域住民全員が楽しめる公園をつくろうと、大幅なプランの変更が行われたのです。

現在、公園ではいつも子どもたちが走り回っていて、周りでお母さんたちが会話を楽しむなど、人が絶えない様子がうかがえます。ベンチや石段が両脇にずっと続いていたり、ちょっとした段差や街中にはあまりない広場があったりと、好奇心を刺激するさまざまな仕掛けを用意したことが、居心地のよさを生んでいるのかもしれません。

また、このマンションはマンション単独では日本で初めて、ABINC(いきもの共生事業所)とJHEP(ハビタット評価認証制度)という、二つの生物多様性に関する認証を取得しています。今回の開発によって地域の生態系を壊さず、一帯に棲息していた鳥や蝶が何十年先まで変わらず住みつく環境を守るべく、在来種である多種多様な樹木や草花を植え込んでいるのです。どことなく武蔵野の森のような趣が感じられるとしたら、そこにはそんな理由があります。

内と外の連続性に注力した多彩な共用空間

公園に面した南棟の北側には、共用施設がまとまった共用棟があります。共用棟は住宅棟とは外壁の素材も変え、粘板岩という金属のような光沢感のある石を貼りました。「オーセンティックかつ先進的」というコンセプトにふさわしい材料を厳選したつもりです。

また、エントランスはなるべくシンプルでダイナミックに見せたいと考え、2層吹き抜けの空間に大きなガラスサッシを設け、通りから見て右手にある車寄せの部分も一体にして、全体に大きなひさしを掛けています。こうした演出によって、街区全体の顔にふさわしい立体的な迎賓空間ができあがりました。

共用部には、カフェライブラリー、パーティールーム、キッズママラウンジ、ゲストルームなど、多彩な施設がありますが、共通して心がけたのは、中と外の連続性が感じられる空間づくりです。カフェライブラリーの外に噴水やテラスを設けたり、ゲストルームの目の前の窓からケヤキの樹幹が見えるようにしたりと、常に中から外、外から中を眺めたときにどう見えるかを意識してデザインしました。

マンションの間取りに革命を起こす「ミライフル」

このマンションにはもう一つ、画期的な新システム「ミライフル」が導入されています。野村不動産と長谷工コーポレーション、ブリヂストンの3社が共同開発した「サイホン排水システム」によって、キッチンを配置できる場所が格段に広がり、選べる間取りのバリエーションも増えました。

従来の排水は勾配をつけた配管を自然に流れる力に任せていたため、キッチンの位置は共用の排水立て管から半径3m以内に限られていましたが、サイホンの原理(細い管をすきまなく水が流れ落ちることによって、後ろから続く水を引っぱり込む力が発生する)を活用した新技術により、最大14mまで離せるようになったのです。

このシステムが初採用された「プラウドシティ武蔵野三鷹」においても、今までの常識では考えられなかった位置にキッチンを配したプランを選んだお客様がいらして、今後の手応えを感じました。

最後に1点付け加えると、ここでは夜景にも心を配り、あちこちに光の仕掛けを盛り込みました。おかげで昼間だけでなく夜もある種の華やかさが生まれ、マンションの住人のみならず道行く人々にとっても、歩いて楽しい街並みがつくれたのではないかと思っています。

写真 : 新 良太

インタビュー

野村不動産 住宅事業本部事業推進二部推進二課 多和田智希

ゼネコンの設計部から中途採用で野村不動産に入り、これまで大規模案件の「プラウドシティ」シリーズに数多く携わってきました。通常の1棟建てのマンションにはない「まちづくり」の視点で考えていくことが、プラウドシティならではの醍醐味であると同時に、苦労する点でもあります。自分ならではの強みがあるとすれば、設計者の気持ちが少しはよくわかるところでしょうか。相手の気持ちを考えながら、パートナーとして互いに高め合って、一緒にいいものをつくっていければと願っています。

プラウドシティ武蔵野三鷹

所在地
東京都武蔵野市中町
交通
JR中央線「三鷹駅」徒歩10分
総戸数
334戸(フロントコート237戸・グリーンコート97戸)
竣工
フロントコート 2018年1月
グリーンコート 2018年9月