住みたい沿線として人気の高い東急東横線。
静かで穏やかな暮らしやすい街が広がるエリアとして長年支持されています。
中でも元住吉は商店街と学校が充実し、ファミリー層に人気の街。
今回は、この商店街と街の活気を支える音楽についてご紹介します。
東急東横線の元住吉駅。2006年に完成した駅舎は環境にやさしいモデルケースに。
渋谷から東急東横線で14分。多摩川を越え、大田区と横浜市に上下をはさまれた、川崎市の真ん中にあたる元住吉。商住接近のローカルな街です。
近年、駅が高架式に建て替えられ、長年の踏切渋滞が解消。屋根に太陽光パネルを設置するなどエコロジーに配慮した駅は開放的で、改札前の緑の小広場からは、北に林立する武蔵小杉のタワービルが見えます。
元住吉は、神奈川県の住みやすい街として名前がよく挙がりますが、その理由のひとつが駅をはさんで東西に長く延びる3つの商店街です。
駅の西には「モトスミ・ブレーメン通り商店街」とそれに続く「井田中ノ町商栄会」。駅の東側には「モトスミ・オズ通り商店街」が綱島街道まで続いています。
日中、歩行者天国になるブレーメン通り商店街は、車の乗り入れがないため、静かで安全。左右の店を眺めるのにちょうどよい道幅で、土地が平坦なため、バギーやカートもストレスなく使えます。低層の建物が多いので空が広く、晴れれば店先に明るく陽が差し込みます。
特に食材を扱う店は充実していて、個人経営の専門店をのぞくと、魚なら丸ごと一匹、肉は切り出す前の塊が並び、買い物上手になれば、どんな部位でも求めることができます。野菜が並ぶ店先には、その日の朝、近隣の畑から収穫した採れたて野菜もあれば、鮮度のよいものを見つけるのが難しい地方の伝統野菜も。店先を眺めて歩いていると、誰もが思わず買い物したくなってしまいます。
ここに住んだらこの店で手みやげを買おう、と思えるお店も揃っています。
和菓子、洋菓子、練り物など人気の店先は人だかりが絶えません。この街の賑わいに魅力を感じ、老舗の煎餅屋はカフェを併設したコンセプトストアを出しました。
小中・髙と学校がすぐ近くにあることから、街が健全に保たれていることもファミリーが暮らしやすいといわれる理由のひとつ。
商店を営む人たちも、当代、先代、先々代と同じ小学校に通った間柄。学校帰りの子どもたちを見守る目にもひときわ温かさがあります。
この元住吉の商店街が、10万人もの人で溢れかえる日があります。毎年10月の第1日曜、「モトスミ・ブレーメン通り商店街」が主催 する「フライマルクト」の日。ビール祭りやちびっ子遊園地、ストリート演奏など、商店街全部が舞台となる秋の一大イベントです。フライマルクトは英語でフリーマーケットの意味。ブレーメンの音楽隊の故郷、ドイツのブレーメン市で980年続く「市民のお祭り」をモトスミ風にアレンジしたお祭りです。
このフライマルクトなど商店街のお祭りに欠かせないのが「ブレーメン・バンド」。総勢約40名という吹奏楽のビッグバンドで、全国で唯一、商店街に所属する音楽団です。このバンドの育ての親が商店街理事長の伊藤博さん。街に音楽を定着させた仕掛け人です。 今から30年前、伊藤さんは、神奈川県を中心に、マーチングバンド20組を商店街に呼び、音楽祭を始めました。この音楽祭が10回目を迎えたあと、「街で演奏したい」と言ってきたのが、近隣の高校の吹奏楽部OBで、商店街でそれぞれ店を営んでいた3人でした。それが2002年のクリスマスのこと。演奏したのは「クリスマスキャロル」。これが、ブレーメン・バンドの始まりでした。
「その演奏会をきっかけに、吹奏楽をやりたいという人が集まってきましてね。社会人になって離れてしまっていた けれど、学生時代は吹奏楽をやっていたという人が結構いたんです。機会があればやりたかったと、どんどん参加してくれたんですよ」。 メンバーも増え、バンドは商店街所属楽団として成長。2009年から定期演奏会を開催し、2011年には団員25名がブレーメンを訪問。友好提携するブレーメン市内の商店街、ロイドパサージュで公開演奏を敢行したこともある腕前です。
団員は基本的に全員アマチュアですが、そのハイレベルな演奏から、地元以外のイベントにもよく出演しています。また地域の小学校から子どもたちに演奏を聴かせたいと頼まれ、体育館でコンサートを開いたことも。バンドの結成メンバーでホルンを担当する、商店街の宇野酒店2代目・宇野慎也さんは「今は、CDやダウンロードが主流ですが、音楽はやっぱり生の演奏を聴いてもらうのが一番。演奏していると、目の前で子どもたちがぴょんぴょん跳ねたり、踊ったり。僕たちも子どもたちやお客さんの反応を目の前で見られるのが楽しいです」と言います。
フライマルクトの駅ナカコンサートでは、住吉小学校の生徒たちも太鼓などの楽器を演奏しました。「それも、こちらから声を掛けたのではなく、子どもたちの中で、やりたいっていう声が上がったから。イベントに参加して発表することにはみんな一生懸命で、楽しんでいますよ」と理事長の伊藤さん。「ブレーメンの音楽隊がテーマですから、子どもたちは、この商店街はなんか楽しいと思ってくれているみたいです」。めずらしい楽器に、迫力のある音、リズミカルな楽しい音楽。お祭りのたびに触れるブレーメン・バンドの演奏は、子どもたちが自然と音楽に親しむ素地をつくっているようです。
「一緒にやりたい、という人がいたら、僕らはいつでもウェルカムです」と宇野さん。実際、バンドに入りたいと元住吉に引っ越してきた人もいるとか。ブレーメン・バンドのほか、「バンザイライフ」という商店街のオリジナル曲をつくっているポップスのバンドや、ストリートミュージシャン、ジャズライブを行うカフェも街にはあります。
ふだんは穏やかな空気が流れるローカルな商店街ですが、街になじめば、そこにはさまざまな音楽を奏でる人が。多様な音楽が街に人を呼び込み、人と人をつないでいく。そこにまた新しい音楽が生まれる。音楽を愛する人が増えれば、街の賑わいが増していきます。そんな理想的なコミュニティのサイクルが、この街の明るい活気を育んでいるようです。
[画像提供・取材協力]
ブレーメン通り商店街事務所
TEL:044-422-3626
http://www.bremen-st.com/
東横線武蔵小杉駅・元住吉駅の両駅が徒歩圏。コスギに華やぎ、モトスミに寛ぐ。全34邸の邸宅レジデンス。
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※掲載の情報は、2018年1月時点の情報です