東雲

運河と海に囲まれ、都心にいながらもリゾートのような開放感が味わえる東雲の街。
そこには水辺の暮らしを愛し、守ろうとしている人たちの姿がありました。
水辺に集い、遊び、学ぶことで、自然の尊さと慈しみの心を知る……、
そんな心豊かな日常の1シーンを、水辺の街・東雲から少しだけお届けします。

1 東雲の街を歩く

水辺の景色に囲まれた街の
利便性と快適性を叶えた暮らし。

「東雲水辺公園」から見る辰巳桜橋。

東雲とは、夜明け前に東の空が瑠璃色に染まる頃のこと。その名を掲げた街は、闇から光が生まれるように、ドラマティックに新しい暮らしが始まる予感に満ちています。北と東に東雲運河、南に東京湾、と豊かな水辺の景色に囲まれているため、電車で銀座へ5分、東京には8分とアクセスが便利なエリアに位置するとは思えないほど、のんびりとした空気に包まれているのが魅力のひとつです。

運河に向かって180°視界が開ける「東雲水辺公園」。

しかも、食品売り場が24時間営業の「イオン東雲店」や、ワークショップや水泳教室を開催している「グランチャ東雲」など、ショッピングや子育て支援などの施設が集まっているので、ファミリーにとって、暮らすにも学ぶにも便利な街であると言えるでしょう。

さらに、注目したいのは、街全体が美しく整備されているだけでなく、誰もが歩きやすいように設計されていること。特に運河に面した街区では道幅が広く、段差も少ないので、サイクリングを楽しむ親子や愛犬と散歩するファミリーのほか、たくさんのランナーたちに出会います。潮風を感じながらのランニングは、気持ちがすっきりと晴れていくと同時に、エネルギーが充填されていくようです。

愛犬と散歩している人も。

街の東側を流れる東雲運河に沿って、北は辰巳橋、南は辰巳桜橋まで約450mにわたって広がる「東雲水辺公園」は、特に見晴らしのいいランニングスポット。また、辰巳桜橋の南側にある「潮風の散歩道」ともつながっているので、近隣に暮らすランナーたちの定番コースとなっています。春になると125本もの桜並木が水辺を華やかに彩るなど、四季折々の景色を楽しめます。

東雲運河をわたる辰巳桜橋は、ランニングにもおすすめです。

また、ランニングの途中で、橋の上から運河を颯爽と走る船を見かけたり、シーバス釣りを楽しんでいる人と出会ったりと、水辺の街ならではの発見があるのも、豊かな水に恵まれた東雲らしい風景。青空を映す運河を、白い軌跡を描きながら船が行き交う様子を見ていると、まるで時間がゆっくりと過ぎていくように感じられます。

東雲運河を行き交う船。

水辺の暮らしの心地よさを
より一層感じられる場所が
街のそこかしこに。

季節ごとのランチやドリンクが楽しめます。「シップス リトルカーズ」電話03-5548-0032

東雲には、ショッピングや散歩の途中に立ち寄れる魅力的なショップも点在します。「シップス リトルカーズ」もその一つ。イギリス車のアイコンとも言うべき「MINI」の外装やインテリアを手がけるカードックと、セレクトショップ「SHIPS」が合体したお店です。1階には東雲のライフスタイルに寄り添う、水辺のリゾートやアウトドアを意識したファッションアイテムや雑貨が並び、2階にはクラシックパブ風のカフェが。ここでは、思い思いの時間を過ごすことができます。

東雲から歩いて数分の豊洲駅近くにある「豊洲シビックセンター」の9~11階には、ゆりかもめやレインボーブリッジが一望でき、水辺の景色が眼下に広がる「豊洲図書館」もあります。書架やテーブルなどに木材が多く使われているため、館内のどこにいてもぬくもりが感じられる居心地のいい空間です。

ファミリーが多く暮らしているという地域の特性を反映して、9階には食育や子育てに関する本が充実。11階の「おはなしのへやキッズ」では、毎週火曜と水曜、土曜に乳幼児向けのおはなし会などが行われています。

「豊洲シビックセンター」の11階からは晴海運河を一望できます。
木のぬくもりが感じられる館内。開放感あふれるテラスもあります。
「豊洲図書館」電話03-3536-5931 資料提供:江東区広報広聴課

運河と人々の暮らしが隣り合う東雲の景色は、毎日見ても飽きることはありません。特に、夕方の幻想的な情景には思わず心を奪われます。帰路を急ぐ途中、夕陽を受けてオレンジ色に輝く運河を渡る時は、まさに心がオンからオフへと切り替わる瞬間だと言えるでしょう。

オレンジ色に輝く東雲運河。

2 この街の風

自然の恵みをもたらすだけでなく
人と人をつなげ、その輪を広げる運河の価値。

東雲運河に浮かぶ、色とりどりのヨット。

水辺の街・東雲の周辺では、運河の魅力をさまざまなイベントにより体感することができます。水辺で過ごす気持ちよさを体感し、運河の大切さを知ってもらおうと活動している人たちがいるのです。「NPO法人 江東区の水辺に親しむ会」も、その一つ。都内でセーリングの普及を目指す「セイラビリティ東京」と江東区との協働事業として、2018年度は小学生ヨット乗船講習会を開催しています。区の特徴を活かした遊びを通じて水辺で過ごす楽しさを感じながら、子どもたちに協調性や安全対策についても学んでもらうことを目指したイベントです。

ヨットを熟知する「セイラビリティ東京」が指導。

対象は小学3年生から6年生まで。午前と午後に分かれて2回行われました。使用されたヨットはアクセス・ディンギー。子どもや障がいのある方でも乗りやすいように設計された2人乗りの小型ヨットで、一般的なヨットよりも安定感があり、操作が簡単です。今回の乗船講習会では、ディンギーの乗り方だけでなく、水面での安全確保方法、日常生活でも役立つ便利なロープの結び方なども紹介されました。

スタッフに手伝ってもらいながら救命具を身に着け、ディンギーに乗り込んだ時にはおっかなびっくりだった子どもたち。風を受けて運河をスイスイと走っていると、爽快さに緊張が解れたのか、見る見るうちに表情が明るくなっていきます。水面に手をつけ、「水も風もひんやりしてる!」と自然の心地よさを再発見したり、「僕もやってみたい!」とオールで水を掻いてみたり。自宅近くを流れる慣れ親しんだ運河で、こんな遊びができると初めて知った子どもも多く、水辺の楽しさを満喫している笑顔が印象的でした。

乗船時にはスタッフがしっかりとサポート。
ヨットに乗船する前の子どもたちは冊子を手に興味津々の様子。
お祖父様と一緒に講習を受ける女の子の姿も。

幼い頃から水辺に親しみ、
風や水の心地よさを知ることで
運河のある街への愛が育まれていく。

いざ乗船。東雲運河の乗船場は整備が行き届いているため波も少なく、初心者でも安心です。
乗船を終えたあとは、こんな笑顔が。

そんな子どもたちの様子を、目を細めて見つめていたのが、今回の乗船講習会を主催した「江東区の水辺に親しむ会」の理事長・須永俶子さん。緑豊かな街づくりや造園設計を行う企業に勤めながら、水辺でのイベントを企画し、運営しています。

「江東区の水辺に親しむ会」の理事長・須永俶子さん。

「仕事場の近くを流れる運河を眺めているうちに興味を持ち、少し調べてみたら、かつて運河は道路のように使われていたことを知ったんです。そして、東京が運河でつながっていた頃の歴史を知れば知るほど、人を惹きつける水辺の力にどんどんのめり込んでいったんです。水辺に親しめる街は、本当にいいなぁって」

江戸時代には、運河によって食料や物資が周辺に暮らす人々の元へと届けられていました。物を運び、多くの人々の生活を支えてきた運河の周りには、豊かな暮らしが息づいてきたのです。そして今、運河は人と人をつなぐ場として活用されつつあります。

「少し前までは柵で囲まれていたりして近寄るのが難しかった東雲運河も、今では整備され、乗船場やテラスがつくられて、地域の方の憩いの場となっています。休日には、このヨット乗船講習会だけでなく、家族で楽しめるようなイベントも行われているんですよ」

以前は都内の別の区に住んでいたという須永さん。江東区に移り住んで感じたのは、水辺の心地よさと人のつながりのあたたかさだと言います。人の入れ替わりが激しい東京では、薄くなりがちだとされる地域住民同士のつながりも、江東区ではちゃんと感じられるのだと。

「コミュニティがしっかりつくられている街は、建物にしても道路にしてもメンテナンスが行き届いていて、きれいなんです。それは、街に対する愛があるからだと思います。やはり大切なのはハードよりもソフト。だから私は、区やさまざまな団体の力を借りて、交流の場をつくろうとしているんです」

風を受け、気持ちよさそうに走るヨット。

水辺に親しむイベントを始めようとした当初は、協力者が少なくて苦労したという須永さん。東京海洋大学から船を借りて、商店会や地域の方に乗ってもらい、改めて運河から自分たちの暮らす街を再確認してもらったそうです。

「まずは水辺の気持ちよさを体感していただくことが一番。気持ちよさや楽しさは、人の心を動かします。そして、心を動かされた人は、行動を起こします。船に乗って、運河から街を見ることで、新しい魅力を発見したり、課題が見えてくることもあります。商店会の方々に船に乗っていただいた時も、船の上で風を感じながら過ごすうちに会話が盛り上がり、イベントにご協力いただけることになったんです。今後も、体感していただきながら人と人との交流の場を作っていけたらと思っています」

東雲運河周辺は地域の方々の憩いの場となっています。

水辺で遊んだ楽しい思い出は街に対する親しみを深め、身につけたシーマンシップは周囲との協調性を高めます。いつかイベントに参加した子どもたちが、親しみある水辺の風景を未来へと引き継いでいこうと、同じ街に住む仲間とともに行動を起こす日がやってくるかもしれません。

暮らしに潤いをもたらす水辺によって人と人がつながっている東雲。運河は都会の街に自然だけでなく、街を愛するコミュニティという恵みももたらしているのです。

3 街のおさらい

※掲載の情報は、2018年7月時点の情報です