桜木町

港に面した開放的なロケーションに、高層ビルなどの現代的な建築と明治から昭和初期に建てられた歴史的建造物が小気味よいテンポで調和している桜木町。
古い建物をただ守るだけではなく、現代のニーズに合わせて活用し、新たな空気を吹き込んでゆくそんなこの街の姿に焦点を当てました。

1 桜木町の街を歩く

クラシックとモダンが共存する街に
アートが散りばめられ、幾層にも魅力が重なる

横浜生糸検査所の建物を活用した「横浜第二合同庁舎」。

桜木町の街の中心に位置する桜木町駅。その歴史は古く、初代横浜駅として日本で最初に鉄道が開通した駅でもあります。
交通の要衝となり、経済の中心地として発展してきた桜木町ですが、その進化は止まることを知りません。大規模な開発としては、来春に新港地区にオープン予定の「新港地区客船ターミナル」プロジェクトが進行中です。

ライブイベントなどに利用される「ドックヤードガーデン」。

また、幕末期の1859年に全国に先駆けて開港したこの街では、海外との貿易が活発になるにつれ外国人が多く移り住み、衣食住やスポーツ、音楽などさまざまな西洋文化が持ち込まれました。今、街中で現代的なビルと調和しながらも、存在感を誇らしく放っている西洋風の建物もそのひとつ。趣のある歴史的建造物は大切に守られるだけでなく、都市施設として活用され、新たな価値を生み出しています。

例えば横浜ランドマークタワーには、かつてみなとみらい地区が造船所だった頃の名残であり、現在は国の重要文化財である「ドックヤードガーデン」があり、イベントなど人々のコミュニケーションの場として使われています。海岸通りにある「日本郵船歴史博物館」の建物は、ギリシャ・コリント式の列柱が特徴的な1936年竣工の横浜郵船ビルの1階部分を改修したもの。近代海運の黎明期から今日に至るまでの歴史を紹介しています。

大きな船の模型や豪華客船にまつわる品々の展示は見応えがあります。
日本郵船歴史博物館
電話045-211-1923

そして、「横浜第二合同庁舎」近くに建つ「YCC ヨコハマ創造都市センター」の1階にある「カフェ オムニバス」も、歴史的建造物を活用した人気スポット。堂々とした威厳を感じさせる石造りの建物は、旧第一銀行横浜支店を移築・復元したものです。天井が高くゆったりと配置された席で、世界各国のサンドイッチを味わえます。ここにはカフェ以外にもレンタルスペースやコワーキングスペースがあり、アーティストを講師に迎えたワークショップなどが行われることも。この街のクリエイティブ活動の拠点として多目的に活用され、人々の交流の場となっています。

カフェ オムニバスのスタイリッシュで開放的な店内(写真上)と、イベント「YCC Temporary 北澤潤 ネイバーズ・ランド」展示風景 Photo: Ken KATO(写真下)
「YCC ヨコハマ創造都市センター」電話045-307-5305

このように、全国でもいち早く開港し、新しい文化をさかんに取り入れてきたこの街は、今もなおそのスピリットを継承し、新旧の文化を交差させつつ、さらに街の魅力を深めようとしています。

街の風景にさりげなく
芸術作品が調和することで
街全体がアートになる。

風に揺れる「水面の鳥」。

歴史的建造物と現代的な建築が溶け合った街並みを見て歩くだけでも楽しいのですが、さらに広場や道路などでパブリックアートを見ることができます。横浜銀行本店ビル前の、地上から2階の歩行空間にまでそびえ立つのは「水面の鳥」。壮大な作品が、風でゆっくりと回転する様子を眺めていると、時間の流れがのんびりと感じられます。横浜メディアタワーにある「Hello」は、「手から生まれる人のふれあいが、豊かな空間や文化を創り上げてゆく」といった想いや祈りがこめられたもの。これまでの歴史と、これからの未来を感じさせる作品です。

2つの手が挨拶しているような「Hello」。

観光地としても人気の高い街ですが、デパートや商店街、スーパーマーケット、役所など生活に必要な機能が集中したコンパクトシティでもあり、“住みたい街”としても注目されています。歩道や自転車通行帯が整備され、街を快適に移動できるのも特徴。そして移動におすすめなのが「ベイバイク」と呼ばれるシェアサイクルです。街のいたるところにあるポートでレンタル・返却ができて便利です。

国際橋からは、みなとみらいの景色を一望できます。

充実した都市機能による日々の便利な暮らしと、商業・文化施設などのエンターテインメント、海辺ならではの開放感ややすらぎ、ワークショップやイベントにおける地域の人たちとのコミュニケーションなど、たくさんの豊かさを叶える暮らしを実現できます。

2 この街の風

レトロな建物と心地よい海の景色を背景に
非日常的なイベントで人のつながりを感じる。

「横浜赤レンガ倉庫」をバックに、ロングテーブルで食事を楽しむ人たち。

横浜を代表する「横浜赤レンガ倉庫」。現在は旬のアイテムを集めたショップやレストランが揃うだけでなく、多彩なイベントが広場で開催され、地域の方々の憩いの場となっています。この建物は、もともと明治政府が建てたもの。当初は輸入された外国貨物を保管するための倉庫でしたが、1989年には海上輸送のコンテナ化とともにその役割を終了。その後しばらく放置されていましたが、昔から『ハマの赤レンガ』と呼ばれ、親しまれてきたこの建物を歴史的資産として保存し、市民の身近な賑わい施設として活用しようと、横浜市が国から買い取り、さらに地元にゆかりのある企業や地域の人たちによって再生されました。

現在のように年間来場者数600万人を超える人気スポットとなったのは、まさにこの街の象徴として愛されているからです。歴史ある建物を活かし新しい楽しさを発信する「横浜赤レンガ倉庫」は、歴史を守りながらも多様性を受け入れ、常に新鮮さを生み出し続けている街の姿そのものだと言えるでしょう。

個性的な品物が並び、楽しいマルシェ。
スワッグ(壁飾り)づくりのワークショップ。

ここでは、地域の人とのつながりが感じられる、多くのイベントが開催されています。そして、今年はじめて開催されたイベントが「みんなの朝」。海に面した場所に建つ「横浜赤レンガ倉庫」ならではの、開放的なすがすがしさを感じながら朝活ができるというこのイベントでは、地元食材を使用した朝食が食べられる店、県内産の野菜や果物などを販売するマルシェなど、朝をテーマにした楽しいお店がたくさん。ロングテーブルに集い、みんなで一緒に朝食を囲んだり、潮風を感じながらのラジオ体操や、「横浜赤レンガ倉庫」の周りを歩きつつ、地元の歴史を学ぶ散歩ツアーに参加したり……。さまざまなアクティビティを通して、初めて会う人とでも同じ時間を共有しながら、心地よいつながりを感じられます。

日よけの下の涼しい空間でヨガタイム。
(同時開催イベント「こもれびの下でウエルネス涼活」)
出店ブースや広場の屋根など、細部のデザインにまでこだわったイベント。
近所に住むカップルやファミリーの姿も。

横浜赤レンガ倉庫では、ほかにもビールフェスやクリスマスマーケット、音楽や食などをテーマにしたイベントが毎週のように開催されています。桜木町に住んだなら、休日はふらっとブランチを食べに行ったり、イベントのアクティビティに参加してリフレッシュしたり、音楽ライブを楽しんだりなど、大切な人と一緒に特別な時間を過ごせます。

積み重ねられた文化や歴史を
大切に守り、活かすことが
地元の誇りに。

そんなさまざまな楽しさを常に発信している「横浜赤レンガ倉庫」。イベント事業部の広報担当・石井朋子さんによると、定期的に開催しているイベントでは、“非日常感”や“赤レンガ倉庫ならでは”を意識しているそうです。

「横浜赤レンガ倉庫」の広報担当・石井朋子さん。

「古い建物を保存しつつも実現可能な新たな取り組みにチャレンジすることには難しさも感じますが、ドイツの建築様式を取り入れた歴史ある建物、背景に見える海、季節や時間帯で大きく変わる雰囲気といった、ここにしかない価値をイベントを通して発信したいと考えています。今回の『みんなの朝』も、実際にこの周辺で朝から散歩やランニングをしている方々がいらっしゃることから、より多くの人に朝の『横浜赤レンガ倉庫』の気持ちよさを味わっていただきたいと思い、企画したんです」

横浜赤レンガ倉庫のイベントには地域の方々の来場も多く、「去年開催されたイベントは、今年もやりますか?」といった問い合わせが寄せられることも。「家族の恒例行事として楽しみにしてくださっている方も多いですね。『あのあたりに行けばいつも誰かがいて、何か楽しいことをやっている』と、気軽に来ていただける場所であり続けたいです」と石井さんは言います。

いつ来ても、何か楽しいことがあると感じさせてくれる「横浜赤レンガ倉庫」。

さらには、イベント会場で知り合った方々が仲良くなり、定期的に「横浜赤レンガ倉庫」のイベントに参加して一緒に楽しんでいるということもあるそう。人と人が気軽につながることのできる風土が、ここに根付いているのです。そして、実は石井さん自身も横浜生まれの横浜育ち。現在も市内に住んでいるとのこと。一度住んだら離れられなくなる人も多いというこの街、そのあたたかな風土が人を惹きつけているのかもしれません。

海をバックにしたイベント会場は、どこを見ても絵になるロケーション。

この街が紡いできた文化や歴史は、住む人の誇り。「今後、2020年に向けてホテルが新設され、客船ターミナルも新しくオープンするなど、さらに開発が進み、活性化していきます。そうしたなかでも、『横浜赤レンガ倉庫』は今のまま大切に守っていきたいです。昔から変わらず、地域の方々に親しまれている場所として、さらに多くの出会いと交流を生み出していけたら」と石井さんは想いを語ります。

この街に住む人にとっての誇りや楽しみが増え続けていくことで、さらに人々の街への愛情は深まり、街はまた心地よさや新鮮な喜びを私たちにもたらしてくれる……そんな好循環がこの先も続いていくことでしょう。

3 街のおさらい

※掲載の情報は、2018年8月時点の情報です