元住吉

国際都市として街の存在感を高めようと、大きく変わろうとしている街・池袋。
大変貌を遂げようとする一大繁華街の華やかな再開発の一方で、この街に住むローカルプレイヤーが、全国的にも注目される街づくりを成功させているのも、ここ池袋。新しい風景が今まさに生まれようとする池袋に、注目してみました。

1 未来の池袋を歩く

さまざまなエンターテインメントが一堂に会す
国際文化都市・池袋が誕生。

観劇の街、ロンドンのように。美術館の街、ニューヨークのように。国際アート・カルチャー都市を目指す池袋。その新しいランドマークが2020年夏にオープンする「Hareza(ハレザ)池袋」。1300席を有する新ホールでは、ミュージカル、歌舞伎、バレエ、オペラなどが行われ、こけら落とし公演には宝塚歌劇団が登場。新ホールを含め、新たに生まれる8つの個性的な劇場で、伝統芸能からバーチャルキャラクターによる最新技術を駆使したライブまでが体験できるようになります。

豊島区役所・豊島公会堂跡地に建設中の「ハレザ池袋」完成予想図。画像提供:東京建物

屋外でオーケストラ演奏が楽しめる劇場公園に生まれ変わるのは池袋西口公園。2019年秋には円形の新しい姿でお目見えします。ハレザ池袋周辺の賑わい拠点として中池袋公園も同じ時期にリニューアル。池袋ならではのアニメ・コスプレの聖地がバージョンアップします。日常的に音楽やパフォーマンスに触れられる街。今、池袋はそんな街に変わろうとしています。2019年からは、JR九州のななつ星のデザインで知られる水戸岡鋭治氏デザインの電気バスが運行。これら新しい池袋のスポットをつなぎます。

池袋駅西口駅前の池袋西口公園を大規模改修し劇場公園に。画像提供:豊島区都市整備部公園緑地課緑化推進グループ

2 新しい風

街自慢のきれいな芝生の公園を中心に
広がり始めた「居心地のいい場づくり」。

こうした「ハレ」の池袋・大改造と並び、「暮らす街・池袋」の景色も劇的に変わっています。その象徴が、池袋駅東口から徒歩5分にある「南池袋公園」。サンシャイン60など高層ビル群を背景に、緑の芝生広場が色鮮やかに広がる公園は、2016年に再生しました。地元で人気の飲食店が手掛けるオープン・カフェ、小さな子どもたちも遊べる遊具エリアが設けられ、平日も休日も、憩う人々でゆったりと賑わっています。池袋に暮らす人、働く人をはじめ、今ではわざわざこの公園を目当てに、街の外からも人がやってくる人気の場所になりました。

公園オープニング写真 画像提供:nest Inc.
遊具エリアには小山に見立てた滑り台があり、ウッドチップを敷いた優しい仕様。
おしゃれなカフェレストラン「ラシーヌ」が隣接。

この公園を中心に、一帯の「賑わいづくり」を豊島区から任され、新たな池袋のシーンを次々に実現しているのが、代表・青木純さん率いる「nest」。青木さんたちの頭の中にあったのは、感動と笑顔が生まれる公園づくり。緑の芝生で結婚式ができて、居合わせた人たちみんなで祝福したり、芝生に寝転がって映画が観られたり。「こんな街にしたい」を自分たちで描き、それを自分たちの手でつくり上げる。その始まりの舞台となったのが、南池袋公園でした。青木さんは、いつでも楽しい屋台が出ていて、早朝にはヨガ教室、週末にはニューオリンズジャズのライブ演奏があるような風景が日常に生まれたらうれしいと語ります。青木さんたちが夢見る公園の未来図はまだまだ、たくさんあります。

nest代表・青木純さん
マルシェの会場では、手書きのボードで街人を迎えます。

ただ、ここに挙げたことの内、どのひとつも、日本の公園ですんなりと実現できるものはありませんでした。青木さんたちは、公園に関わる多様な人たちに、理想の街を一緒につくりましょう、と根気よく話し続け、人の気持ちをつなぎ、共感を育んで、昨年、結婚式と映画の上映会を実現。月に一度の週末には、nest marcheというマルシェを定期的に開催しました。誰もが近所にあったらうれしいと思う公園の姿が、現実化し始めたのです。それは、豊島区だけでなく、全国の自治体が手本とする、新しい公園のカタチになっています。

公園内でオリジナルのウエディングをプロデュース。画像提供:nest Inc.

こうした公園のイベント運営は、たった4人のメンバーとボランティアおよそ40人が交代で行っています。その中には、企業でコミュニティマネジャーをしている人や国交省の職員も。屋台の設営や撤収も自分たちで行い、子どもたちにマルシェの風景を見せたいと思えば、地域の小学校に許可を取りチラシを撒きに行くこともしています。そこまで!?というほど地道なコミュニケーションを根気よく続けてきたからこそ、一つ一つのイベントに温かな空気が流れているのです。

いつもの公園が劇場に。画像提供:nest Inc.

そんなに苦労の多い手弁当の活動を、青木さんは「どうしてやっているかと言われたら、地元だからです」ときっぱり。池袋生まれ、池袋育ちの青木さんは、自分が学生の頃は、池袋は繁華街で、暮らす街ではなかったと言います。「僕たちは、この街に住む子どもたちに、心に残るような街のいい風景をたくさん見せてあげたい。街に愛着を持ってくれて、大人になっても帰ってきたいと思う人が増えたらうれしい。そんな思いでやっています」。

ハンドメイドやアンティークの雑貨などが並ぶ。

「マルシェのある街っていいよね」。そんな発想から始まった月イチ開催のマルシェも、3月で11回目。グリーン大通りから南池袋公園までが会場になります。「まちを市民のリビングに」を合言葉に、5月18,19,20日に開催するnest marcheの拡大版IKEBUKURO LIVING LOOPでは、大通りの歩道に地元企業である無印良品が協賛したソファなどのストリートファニチャーが登場。夕暮れどきからは、青木さんたちが綿密にテストを重ねてきた、暖かみのある照明で通りが彩られます。夜も、居心地のいい街へ。青木さんたちの提言する新しい風景は、まだまだこの先も池袋を変えていきそうです。

カフェのおいしいフードのほか、ハンドドリップのコーヒーも。

ここから始まった豊島区内の公園活性化の動きは、池袋に点在する小さな公園にも広がっています。そのひとつが、昨年12月にスタートした東池袋の高層ビルのふもとにある日出町第二公園を使った「HINODE MORNING MARKET」。サンシャイン側の新しい商住エリアと、東池袋から大塚へと広がる、昔ながらの商店街と住宅街エリアの境界スペースで開かれる朝市です。いつもは通り過ぎるだけの公園にソファや椅子や屋台が並び、境界の両側から人が集まって、新旧の住民がゆるやかに交流する場が生まれようとしています。第1回のマーケットでは、近所のカフェのこだわりコーヒーに、老舗の肉屋のコロッケがあり、そば屋は温かなそばがき汁粉を、ほかにも、区内で活動するさまざまなクラフト作家らが参加しました。今年4月からの定期開催を目指して準備が進んでいます。

普段は通り過ぎるだけの日出町第二公園だが、マーケット効果で近隣の住民が集う。
写真(左上):西野正将

こうした豊島区のさまざまな取り組みを発信する区(女性にやさしいまちづくり担当課)が運営するウェブメディアが、街をのぞいてみよう、と名付けられた「としまscope(スコープ)」。朝市やマルシェのほかにも、街づくりに力を入れる豊島区の活発な活動は、「としまscope」にどんどん情報がアップされています。ここを見れば、区民、行政、企業が一体となって取り組んでいる、新たな街づくりの活動がわかります。

形を見せはじめた居心地のいい街づくりのための豊島区の試み。暮らす街・池袋の新しい風景を見に、公園へ、朝市へと出かけてみませんか。

3 街のおさらい

[画像提供・取材協力]

国際アート・カルチャー都市としま
http://www.city.toshima.lg.jp/artculture/index.html

nest marche
https://www.facebook.com/nestmarche/

としまscope
http://toshima-scope.city/

※掲載の情報は、2018年2月時点の情報です

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