江戸の伝統と東京の革新が共存し、進化し続ける街、日本橋。
最先端の商業ビルと情緒ある路地の風景が交差する街では、新旧のモノ・コト・ヒトがそこここに集い、新しい文化が生まれています。
「この街に住むならば」。そんな視点で日本橋をそぞろ歩いてみませんか。
東海道の起点、日本橋。
江戸時代、城下町として発達し、当時はパリやロンドンよりも大きな都市だったと伝えられる日本橋。創業100年を超える老舗が軒を並べ、江戸から続く伝統の味や技が、今も生き生きと息づいています。
日本橋川にかかる「日本橋」をはさんで、南北に広がる日本橋・室町エリアは、この地区の中心地。
老舗の二大百貨店をはじめ、新たに開発された商業ビルには、誰もが知る食や道具の老舗と新しい感覚のセレクトショップなどが並び、海外からの観光客ならずともつい手が伸びる、日本橋みやげが店頭に並びます。
日本橋川を渡って東に進むと日本橋人形町です。隅田川に向かって南東に下れば、安産の神様で知られる水天宮様。東に向かえば、日本一古い興業の歴史を持つ明治座へ。碁盤目のようにつながる路地をのぞくと、ついふらりと立ち寄りたくなる店の看板が目に入り、街歩きに飽きることはありません。
人形町から明治座に抜ける甘酒横丁は、古い街並みが魅力的な商店街。甘く香ばしい匂いを放つ鯛焼きや人形焼きがテンポよく焼き上げられ、地元の人が行列する店では、おいしそうな惣菜や漬物などが大盛りになっています。木桶の店や三味線の店が入り交じるのも日本橋ならではです。
人形町の東側は日本橋浜町です。ここは、人形町の賑やかさと対照的に静かで落ち着いた地区。その浜町が注目され始めたきっかけは、ビブグルマンで星を取ったそば屋など、知る人ぞ知るうまい店がじわりと増えてきたこと。感度のいい人たちがいち早く、レストランやカフェ、セレクトショップなどを独自にオープン。若い世代を惹きつける街へと変貌しつつあります。
川沿いに整備された隅田川テラスをはじめ、住みたくなる要素も増えてきた浜町エリア。その街に新しい風を呼び込み始めたお店を、続いてご紹介しましょう。
今年9月、デザイン界で話題のプロダクトショップ「パピエ ティグル」が、日本橋浜町の一角にオープンしました。
パピエ ティグルは、パリのマレ地区で評判の、デザイン性の高い、ユニークな紙のプロダクトを中心にデザイン、製造、販売を行うブランド。ノートからシートを切り離して折ると手紙になるプリポスタルという商品で人気を得、独創的でインパクトのあるグラフィカルなデザインのノートやメモ帳など、ステーショナリーを中心に制作。ダイアリーで有名なクオバディスと組んだスペシャルアイテムも手掛けています。
もともと日本が大好きで、年に数回は来日していたというパピエ ティグルのデザイナー、ジュリアンとアガット。彼らが愛する日本のステーショナリーや雑貨と同じクオリティのものがフランスにはなかったところから、自分たちでつくろうと立ち上げたのが、パピエ ティグルの始まりだったそうです。
2人のデザイナーに、広報とマーケティングのマキシムが加わって、2011年にスタート。パピエは紙、ティグルはタイガー=虎。ロゴマークの虎が、折り紙細工のようなデザインで目を引きます。
おしゃれに敏感な人たちの間で、安定した人気を誇るパピエ ティグル。世界200箇所以上に上る、センスのいいセレクトショップやデパートで取り扱われています。
日本でもこれまでに、青山のスパイラルマーケットでパリのショップを再現したエキジビションを開いたり、東北被災地支援のために、かねてより交流のあったビームスとコラボしてけん玉をデザインしたりなど、日本とつながりの深いクリエイティブチームなのです。
来日のたびに、文具や雑貨、民藝など興味の引かれるままに日本のプロダクトを熱心に見て回っていた、パピエ ティグルのメンバー。人から人へと紹介されるうちに、東京の直営店を運営する日本のパートナーと出会い、世界で2番目の直営店を東京に出すことになったのは、彼らにとって必然だったのかもしれません。
そんな彼らが、憧れの日本の地で、出店に選んだのが、日本橋浜町です。日本橋から人形町を通り抜け、隅田川に向かった東南のエリアに広がる浜町。新築のオフィスビルやマンションが建ち始めていますが、周辺はまだまだ昭和の香りが漂う商店街や住宅地が広がるエリア。パリからやって来たクリエイターのショップは、周囲に暮らす人や働く人たちにとっては、ちょっと物珍しい存在であるようです。
木造2階建て、築56年の倉庫などに使われていた建物をリノベーションしたショップ&オフィスは、年季の入った木とそれを支える鉄骨が残され、ショップの入口は大きなガラスの引き戸になっています。
このショップのインテリアデザインを手掛けたのは、有田焼400年のプロジェクトなどで注目を集めるデザイナー、柳原照弘さん。パピエ ティグルのエッジの効いたデザインの商品が、親しみやすく並べられ、どこかアナログな手触りを、お店全体に醸し出しています。
お店に併設している「サロン・ド・テ パピエ ティグル」は、日本のみの試みです。ここで扱うお茶は、有機栽培されたシングルオリジンの日本茶12種類。このサロンのプロデュースをしているのが「アグリーキャラバン」という日本とオーストラリアを拠点にするチームで、このビル2階のオフィスをシェアする間柄でもあります。
これもまた、パピエ ティグルのメンバーと志を同じくする人がつながっていったご縁のたまもの。一つ一つワインのテイスティングのように、香りをイメージする言葉が書かれたラベルがつけられたオリジナルの茶葉は、こちらで購入することができます。
サロンがあるおかげで、周辺のオフィスで働くサラリーマンやOLがランチに訪れ、また、近隣のご年配の方々が、昼過ぎのお茶をしにやって来るようになりました。
カウンターに設えられた茶釜に沸く湯で、ていねいに淹れられたお茶は、日本橋に暮らす、味にうるさいであろう近隣の人たちの舌をも満足させたようです。お茶のお供に提供している和菓子は、たっぷりの粒あんとふわふわ皮がたまらない名物菓子「虎家喜」が有名な、人形町の老舗和菓子屋「玉英堂」から取り寄せています。
浜町エリアではまだ唯一といっていい、デザイナーズショップ、パピエ ティグル。「ここはいったい、何屋さんなの?」と気軽にのぞきに来る人が多いのも、下町ならでは。
その人たちが、次はランチに来たり、ペンやダイアリーを買ってみたり、気軽なプレゼントをここで、と訪れてくれたりと、地元に溶け込み始めています。
清洲橋を渡れば、サードウェーブコーヒーの店がひしめく清澄白河だけに、浜町でこだわりの日本茶と和菓子を出すというアイデアは、地元に暮らす人、働く人に、しっかりと受け入れられているようです。
パリ、ロンドンと、いずれの都市でも、イーストエリアから新しいカルチャーが生まれています。「文化は西から東へ流れる」と彼らが語るように、東京でも東地区から新しい風が吹き始めています。感度のいいクリエイターたちを惹きつけるのは、活気溢れる人の営みが世代から世代へと伝えられてきた、伝統が息づく下町エリア。パリから来たデザイナーが、人情味溢れる浜町に開いたスペースは、地元の人と、新しく街にやって来る人、ふたつをつなぐ、ホットスポットになりそうです。
都営新宿線「浜町」駅徒歩5分×東京メトロ半蔵門線「水天宮前」駅徒歩8分、とっておきの日本橋に暮らす。
こちらの物件は完売しました
東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町駅」徒歩3分。2LDK&3LDKのプライベートレジデンス誕生。
こちらの物件は完売しました
※掲載の情報は、2017年12月時点の情報です