駅前の大規模な開発や、数年後に予定されている、新横浜や渋谷への直通路線の開通などから、いま注目を浴びている海老名。自然を保ちながら成長を続ける海老名の街をご紹介します。

1 海老名の街を歩く

ヒトとヒトをつなぐ
新しい街の風景

海老名の中心街の最寄り駅は海老名駅。小田急線、相鉄線、JR相模線の3路線が乗り入れていて、街はこの3本の線路によってほぼ東西に区切られています。

まずは東口エリアを歩いてみましょう。駅からまっすぐに公園が伸びていて、その「海老名中央公園」を囲むようにカラフルな建物が並んでいます。複合商業施設の「ビナウォーク」です。ファッションから食料品まで揃う大型施設で、レストランや医療施設、映画館まであります。他にも家電量販店などの大型店舗や、親子で楽しめる室内遊園地「ファンタジー・キッズ・リゾート」などがありますが、これらはみな、ここ20年ほどの間に開業したもの。駅周辺が新しいのはそのためです。

ViNA GARDENS TERRACE
ビナウォーク

引き返して、開発が進む西口エリアを見てみましょう。駅の東西をつなぐペデストリアンデッキを進むと現れるのは「ららぽーと海老名」。海老名市内で最も広い商業施設で、近隣からも人々が訪れる、巨大ショッピング&グルメスポットです。北欧雑貨の店やフレンチトースト専門店など、スタイリッシュなショップが目立つこちらは、ちょっとよそ行きな感じでしょうか。世界のベビーグッズを集めたショップや、キッズメニューが充実したカフェなどもあり、子育て世代に嬉しい施設が充実しているのも特徴です。2015年に開業したばかりのここは、海老名の今を感じさせるスポットといえるでしょう。

ららぽーとはペデストリアンデッキで駅と直結

新しさと暮らしやすさが共存する街

ららぽーとが海老名の最新スポットであるのなら、明日の海老名は東と西の間にあります。小田急線・相鉄線とJR相模線の線路に挟まれたエリアです。ここには2025年度末までに「ViNA GARDENS」という名前の街開発全体が完成予定で、既に開業している飲食店を中心とした商業施設に加え、フィットネスクラブ、ホテル等が入るサービス棟やオフィス棟も登場します。また、海老名は今年開催されるラグビーワールドカップの公認チームキャンプ地にも選ばれました。これから街がどのように発展するのか、楽しみでなりません。

交通アクセスが向上するのもニュースです。小田急線の複々線化は昨年完了し、所要時間が短縮されました。相鉄線は、2019年度にJR線へ、2022年度に東急線へ乗り入れる予定。新横浜や渋谷へのアクセスがさら向上するでしょう。

開発によって便利さを増す海老名ですが、相模国分寺跡などの史跡や自然も健在。マラソンや川遊びなどを日常的に楽しむことができます。海老名市は手厚い子育て支援でも知られています。例えば医療費は所得制限なしで中学卒業まで無料。保育所の待機児童を減らす取り組みも積極的に行っています。*海老名市公式サイトより

取材時に街のあちらこちらで元気な子どもたちをたくさん見かけました。海老名は子どもたちの笑顔が輝く、未来に向かう街です。

相模国分寺跡歴史公園広場

2 新しい風

街とつながる図書館

図書館なのに本を売っている。コーヒーを片手に本を読める。そんな革新的な図書館の噂を皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。海老名駅の近くに立つ「海老名市立中央図書館」が、その話題の図書館です。

どこが革新的なのか、順を追ってご紹介しましょう。まずは冒頭に書いた通り、図書館の中で本を売っているということ。1階にある書店コーナーには新刊書や雑誌が並んでいて、誰でも購入できます。次はカフェの存在。ここで購入したコーヒーを飲みながら館内の本を読むことができます。2階と3階は、座り心地のよさそうなソファがあったり階下を見下ろす席があったりと、一般的な図書館では考えられないような造り。最上階の4階はキッズ専用フロアとなっていて、4階に向かう専用エレベーターはベビーカーをそのまま乗り入れることができます。

2015年にこの運営形態に替わって以来、注目を集め続けている海老名市立中央図書館ですが、なぜこのようになったのでしょうか。副館長の椎名夏代子さんに尋ねると、逆に質問されてしまいました。

「最近、図書館に行きましたか?」

答に困っていると、椎名さんはこう続けます。

「図書館とご無沙汰になっている人って多いんですよ。私たちはたくさんの人に図書館に来ていただきたいと願っています。それは、図書館は人生を変える力を持っているからです。図書館に来て本を読み、勉強し、出会った人から影響を受け、自分が本当にやりたいことを発見する。そうして人生を切り開いていって欲しいんです。そのために図書館はどうあるべきか、一人でも多くの人に図書館に来てもらうためには何をすべきか。その問いへの私たちなりの答が、カフェだったり、新刊書や雑誌が買える書店コーナーだったり、ママ友の輪が広がるキッズフロアだったりするんです。理由は何でもかまいません。海老名市立中央図書館には魅力的なものが揃っていますので、それを目指して、とにかく図書館に来ていただきたいんです」

街とともに成長する図書館

海老名市立中央図書館はイベントもたくさん開催しています。子ども向けの読み聞かせの会や、参加者がおすすめの本を持ち寄ってシェアする会、著名人による講演会など、レパートリーは幅広く、横浜美術館の学芸員によるトークイベントなど、他の施設とのコラボレーションの企画も好評だそうです。
開催方法にも特徴があります。それは、開かれたスペースで開催しているということです。

「入口のすぐ脇にありますから、すべての入館者の目に留まります。それを見て『あっ、楽しそう』となったら、どんどんエスカレートして、ついには『講師になって教えよう』ということになるかもしれません。いや、そうなって欲しいんです。そういう願いからオープンにしています。これも先ほどお話しした、人生を切り開いてもらうための工夫です。実は実際に、あるイベントをきっかけに学び始め、ついに教える立場になった人もいるんですよ。」

こうした革新的な運営形態は、街の分析を一から始め、何度も何度も検討と協議を重ねた末にたどり着いたもの。自治体が図書館のためにここまでやるというのは珍しいことです。そして今、椎名さんたち運営スタッフは手応えを十分に感じているそうです。

食品サンプルのワークショップ
「世界最高齢プログラマー」として知られる若宮正子さんをお招きしての講演会

「しかし留まってはいられません。海老名は成長を続ける街です。人口ひとつとっても、今後大きく増加することが予想 されています。日本中どこに行っても、人口減少にどう対応していくかという話ばかりですが、そんな中、人口増加が話題になる海老名は前向きで、それは大きな強みです。私たちもこの街とともに成長していきます」

椎名さんの望みは「『この図書館があるから海老名に住みたい』と思ってもらえたら」ということ。1日に2000人近くも訪れる日もある海老名市立中央図書館は、もうこの街になくてはならない存在になっています。

副館長の椎名夏代子さん
4階のキッズフロア。授乳室も完備
Photo by ナカサ&パートナーズ

写真:街を歩く:薮崎めぐみ

新しい風:櫛引典久

3 街のおさらい

※掲載の情報は、2019年1月時点の情報です