歌川広重が『名所江戸百景』で描き、井上馨など名だたる政治家が居を構え、尾崎士郎ら文豪たちが芸術論を戦わせていた地、山王。JR京浜東北線「大森」駅を見下ろす高台に位置する山王は、歴史が醸した高い品格にアクセスの良さと暮らしやすさも加わって、今も人気の邸宅街です。
山王が位置するのは武蔵野台地・荏原台の南端で、その直下をJR京浜東北線が通っています。つまり山王は、駅の近くでありながら高台の開放感と静かな環境が望める特別な場所なのです。
そんな山王の入口となるのは、大森駅西口の目の前にある石段です。趣のあるこの石段を1〜2分ほど登って行くと、見えて来るのが「八景天祖神社」。江戸時代には江戸湾が望めたという景勝の地で、広重が『名所江戸百景』で描き、その類い希な景観を称えました。
登ってきた石段はレリーフで彩られていましたが、そのレリーフは山王の歴史を語る上で切っても切れない存在である、馬込文士村の住人たちを称えたもの。山王には尾崎士郎、徳富蘇峰ら文豪・文化人が多く住んでいましたが、彼らはこの石段を踏みしめながら作品の構想を練っていたのでしょう。山王界隈には「尾崎士郎記念館」「蘇峰公園」など、ゆかりの場所がいくつも残っています。ほとんどが第一種低層住居専用地域に指定されている山王は、今も高い品格と良好な住環境を維持しています。
上質な街にはそれに相応しい商店街があるもの。池上通りと環七通りをむすぶ「ジャーマン通り」には魅力的な個人店がいくつもあります。スタイリッシュなカフェ「PERCH COFFEE」は朝9時オープン。北海道産小麦などの素材を活かしたベーカリー「BAKEMAN」からはいつも香ばしい香りが漂っています。山王に暮らした文豪たちの魂を伝える古書店「あんず文庫」ではコーヒーやお酒も愉しめます。
大森駅前に戻ると、そこは賑やかな繁華街。池上通りの商店街と複数のスーパーマーケットは頼もしい存在です。大森駅から東は、かつて質の良い海苔で知られた漁業の街でした。現在も気取らない雰囲気は健在で、飲食店を中心に小規模の店が並んでいます。
さらに進むと海に。「しながわ水族館」のある「しながわ区民公園」は都心で潮風を感じられる貴重な場所で、ランニングやサイクリングも楽しめます。
緑あふれる高台で静かな暮らしを営み、下町で賑わいを楽しみ、潮の香りとともにリフレッシュ。山王はそんな日常をかなえられる街です。
八景天祖神社の隣に、色とりどりの植物で覆われた建物があります。「Keita Flower Design」。柔軟な発想で花の世界に常に新風を吹き込み、彫刻家イサム・ノグチや籔内佐斗司、岡本太郎らとのコラボレーションも成功させてきたフラワーアーティスト、川崎景太さんのショップです。花束のアレンジから、ホームパーティーの花の装飾、インテリアグリーンの計画、ベランダなどの造園まで、花と緑に関するさまざまな相談に応えてくれます。
川崎さんは、日本初のフラワーデザインスクール「マミフラワーデザインスクール」の創設者であり現在は総長を務めるマミ川崎さんの長男。しかしお母様から英才教育を受けたわけではないそうです。
「でもね、いま考えると、自然の大切さ、命の尊さを、母はいろんな形で僕に教えてくれたんだなって思います。例えば僕が初めて興味を持った植物はハコベラなんですが、それは飼っていたニワトリの餌やり係を母に任命されたからなんです。近所を歩きまわって野草のハコベラを採ってきて、ニワトリにあげる。そうするとニワトリが喜ぶから、もっと採ってきてあげようって思うし、どんな草だと喜ぶかなって、植物への興味も湧いてくる。『餌』から入っているから、食べるってどういうことだろう、命って何だろうって、考えも広がってくる」
川崎さんのモットーは「花は物ではなく生き物である」ということ。花は人間にはないさまざまな特性、特徴、才能を持っている尊敬すべき生き物で、人間はそんな花からたくさんのことを学ぶことができ、それが心を育み、生活を豊かにしてくれるといいます。
「飾ってある花が水が少なくてちょっと空しい姿になっちゃったのを見ると、『水をあげたい』っていう気持ちが芽生えます。花と一緒に暮らしていると、自然と優しい気持ちが湧いてくるんです」
花をひとつの命として捉え、大切にする川崎さん。その分け隔てない考えは、山王という街で育ったことも影響しているようです。
「山王というか、広く大森というか、この街には大きく二つの顔があるんです。山側の山王には上品な方が多いし、外国の方、ハイカラな雰囲気もある。対して海側は、本音をぶつけ合うような、ざっくばらんな方が多い。どちらがいいというのではなく、どちらもいいんです。それから、山王と大森を行き来するには坂道を通りますが、僕は坂道が多い場所は必ず文化が発展すると思っています。上から下を眺めたり、下から上を見上げたり、視点を変えて考えることができるというのは大きいですよ」
現在、川崎さんの活動は多岐にわたっています。ギャラリーでの展示、著書の出版、TV出演、企業とのコラボレーションによる商品開発…。その中で川崎さんが特に大切にしているのはフラワーデザインの教室です。川崎さんの「景太クラス」は、年齢、性別、経験などを問わないオープンな教室。受講者は垣根を越えて集まり、純粋に花との対話、仲間との交流を楽しみながら作品を創ります。
大正後期から昭和初期にかけて、山王には多くの作家が住んでいました。彼らは成功している者も明日を夢見る者も、高台にあったホテルの一室に定期的に集まり、親睦を深めながら自身の芸術を高めて行きました。川崎さんの教室はその伝統を受け継ぐものといえるかもしれません。
写真:薮崎めぐみ
写真協力:Keita Flower Design
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