プラウドが生まれる街御茶ノ水

神田川を境に南北に分かれる御茶ノ水の街。北側の「湯島台」には江戸の風情が色濃く残り、南側の「駿河台」は賑やかな学生の街。その二つを「御茶ノ水ソラシティ」などの新施設がつなげています。新と旧、活気と落ち着き、都市美と自然美など、さまざまな要素が調和して新たな価値を生み、住む人に刺激と安らぎをもたらす街、御茶ノ水。今回は北側の湯島台を中心に歩きます。

1 御茶ノ水を歩く

御茶ノ水は、歴史ある風景が、
かけがえのない時間になる街

御茶ノ水の街のメインゲートといえば、JR中央線と東京メトロ丸ノ内線の御茶ノ水駅でしょう。駅前には多様な価値観が調和する街・御茶ノ水の象徴のひとつというべき聖橋。この美しいアーチ橋は、南にある「東京復活大聖堂(ニコライ堂)」と北の「湯島聖堂」という、西洋と東洋の二つの聖なる場所をつないでいます。

湯島聖堂 仰高門
聖橋の橋脚

聖橋を渡って北に向かうと湯島聖堂。周囲を深い緑で囲まれたここは、訪れた人に安らぎとともに明日へと向かう意欲をも与えてくれます。湯島聖堂は日本の学校教育発祥の地。自己研鑽に励むすべての人の希望の場所です。

湯島聖堂 大成殿
湯島聖堂では論語などを学ぶ講座も開催されている
クラシカルなフランス料理とワインが楽しめる「アターブル」

湯島聖堂を抜けると神田明神。神田祭で知られるこの江戸の総鎮守は、2030年に創建1300年を迎えます。周囲では、天然の土室で醸す甘酒の「天野屋」、明神そばの「きやり」といった和の老舗が元気なのはもちろん、味・雰囲気ともにパリの上質なビストロのような「アターブル」や、昔ながらの喫茶店を現代の感覚で再構築した「みじんこ」、趣味の良さとユーモアが融合したオリジナル文具の店「ユルリク」などが新しい感覚を発信しています。

良質なコーヒーとホットスイーツが人気の「自家焙煎珈琲みじんこ」
文具レーベル「ユルリク」のアトリエショップ。金曜と土曜。週二日オープン
グッドデザイン賞受賞の「くさむらになる付箋・GreenMarker」

神田明神を中心に
江戸の風情が残る街

神田明神 隨神門

神田明神は、トークショーや講座の開催、お札やお守りのオンライン授与など、新しい試みにも取り組んでいます。境内に2018年にオープンした「神田明神文化交流館 EDOCCO」は江戸文化の新しい発信基地。イベントホール、スタジオ、カフェなどがあります。

神田明神文化交流館 EDOCCO

2 新しい風

多彩な表現に出会える
街に開かれたアートセンター

Photo:3331 Arts Chiyoda

御茶ノ水周辺は昔も今も文化の街です。そうなったのは、文化創造を志す人たちと気軽に触れあえる環境がこの街にはあったから。書店や画廊に通い、カフェで語り合う芸術家たち。身近にいる彼らと相対することで、街の人たちも大いなる刺激を受けたのです。
「3331 Arts Chiyoda」は、そんな御茶ノ水の街を象徴する場所です。

3331 Arts Chiyoda。中学校として使われていた頃は手前の公園部分との境にコンクリート塀があった。塀を撤去して明るく入りやすくなった

「ここは中学校だった建物を改修して2010年に開館したアートセンターです。地下1階から3階の4フロアに、ギャラリー、オフィス、レンタルスペース、カフェなどが入っています。体育館や屋上菜園もあります」と広報の稲葉智子さん。

Photo:3331 Arts Chiyoda

ギャラリーやアートセンターというと、何となく敷居が高いと考える人が少なからずいると思いますが、3331 Arts Chiyodaは違います。テーマは「地域に開かれたアートセンター」。まずはアプローチが素晴らしい。

「公園から陽当たりのよいウッドデッキを通って入るようになっています。入口すぐのテーブルと椅子が並んでいるフリースペースは全面ガラス張りで、公園からそのままつながっている感じ。館内の方が打ち合わせに使われたり、近隣にお勤めの方が休憩にいらっしゃったり、隣のテーブルで小学生が宿題、なんてこともあるんですよ」

3331 Arts Chiyoda広報の稲葉智子さん
Photo:3331 Arts Chiyoda
Photo:3331 Arts Chiyoda

しかしここで体験できるのは本格的なアート。例えば日比野克彦氏が全国で展開している「明後日朝顔プロジェクト」の東京での拠点は3331 Arts Chiyoda。藤浩志氏の「かえっこ」の拠点もここです。日比野氏の朝顔プロジェクトも藤氏のかえっこも、人と人がつながること、コミュニケーションを深め広げることが大きなテーマ。アートに参加することで地域の絆は強くなって行きます。

藤浩志氏発案の「かえっこ」。遊ばなくなったおもちゃをポイントに交換することで、子どもたちの自発性と創造性を育むとともに、
現代社会が抱える課題を考えるきっかけとする Photo:3331 Arts Chiyoda
日比野克彦氏発案の「明後日朝顔プロジェクト」。日比野氏、近隣小学校の1年生、地域の人たちが共同で朝顔を育てることで、つながる気持ちを共有する
Photo:3331 Arts Chiyoda

アートと憩いが共存した
ヒトと街がつながる空間へ

屋上にあるオーガニック菜園。家族や友人と野菜作りを楽しめる。会員制で、毎年1〜2月ごろに募集 Photo:3331 Arts Chiyoda

「2階にはギャラリーが入居していますが、その奥に町内会の会議室があります。ここでは毎週、おばあちゃんたちが集まって手芸をされています。毎年恒例のクリスマスリース作りでは、近隣の小学生たちが明後日朝顔プロジェクトで育てた朝顔のツルを使います。アートが世代をつなげているのです」

Photo:3331 Arts Chiyoda
毎年作っているクリスマスリース。地域の絆がカタチに

3331 Arts Chiyodaに入居しているギャラリーの数は10軒以上。クリエイティブ系企業のオフィスや、海外のアーティストが滞在して作品制作を行うスタジオもあります。地域の人たちがこれらから受ける刺激は大きいでしょう。「私たちはアートの発信拠点と地域の人たちの憩いの場が共存するような空間を目指しています」と稲葉さんは強調します。

エントランス脇にあるカフェ「Ubuntu」。
食を通じて人と人がつながる、がテーマ。
イタリア伝統のサンドイッチTIGELLAを片手に会話が弾む

3331 Arts Chiyodaのスタッフは、神田祭に揃いの袢纏を着て参加します。
「開館して3年目に神田祭をテーマにした展覧会を開催しました。それを機会によく来てくださるようになった地元の方が、ある日こうおっしゃったんです。『アートって絵とか彫刻のことだと思ってたけど、生活とか全部ひっくるめてのことなんだね』って。すごく嬉しい言葉でした。この街には、愛する我が街をもっとよくしたいと考えている人が本当に多いです。私たちはアートを通してその思いに寄り添い、この地域に少しでも貢献できたらと思っています」

写真:薮崎めぐみ

写真協力:3331 Arts Chiyoda

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※掲載の情報は、2022年5月時点の情報です